〝「神学する」視点を次世代に〟 関学で栗林輝夫氏を偲ぶ会 2015年10月17日
今年5月、67歳で亡くなった故・栗林輝夫氏(関西学院大学法学部宗教主事)を偲ぶ会が9月23日、関西学院大学キャンパス(兵庫県西宮市)内で開催された(同大キリスト教と文化研究センター主催)。関係者ら約100人が集い、礼拝と4人のパネリストによる発題が行われた。
第一部の追悼礼拝では舟木譲氏(同大学宗教主事)の司式のもと、故人の愛唱歌「心を高くあげよ!」「ガリラヤの風かおる丘で」(『讃美歌21』)が歌われ、同大学宗教総主事の田淵結氏がメッセージを語った。同氏は栗林氏が図書館長を務めたころのイラストと、「聖書は下から読むとよく分かる」と提起した文章を紹介。列王記上(19・1~8)、コヘレトの言葉(3・1~9)から、預言者エリヤに触れ、それぞれの状況(コンテクスト)から「解放のメッセージ」を読み解いてほしいと語った。
続く第二部では、「栗林先生の業績と働きを覚えて」と題する座談会が催され、故人とゆかりのある辻学(広島大学大学院教授)、岩野祐介(関西学院大学神学部准教授)、大宮有博(名古屋学院大学准教授)、西原廉太(立教学院副院長)の4氏が、それぞれ思い出を語った。司会は山本俊正氏(同大学教授、キリスト教と文化研究センター長)が務めた。
『原子爆弾とキリスト教』(日本キリスト教団出版局)などから、栗林氏が残した神学的課題について意見交換がなされ、著作集を出版するべきではないかとの意見も出された。辻氏は、「とりわけ神学部には、栗林神学のもたらした『神学する』という視点を次世代の働き手に伝えていってほしい」と呼びかけた。岩野氏は栗林氏が学内誌『やまびこ』(第3号、2007年)に「『鉄人28号』はキリストである」と題する文章を寄稿していたことも紹介した。
会に出席した故人の妻、栗林ザビーネ氏は本紙の取材に対し、「主人が教えたこと、考えたことを研究だけでなく、教会、社会、さまざまなところで役立ててほしい」と語った。