小林節氏 首相の靖国参拝に異議 新宗連「信教の自由」で公開講座 2015年11月21日
新日本宗教団体連合会(新宗連)信教の自由委員会(本山一博委員長)は10月29日、東京都杉並区のセレニティホールで、第4回現代社会と信教の自由公開講座「憲法施行から68年――『個人の尊厳』と信教の自由」を開催し、約100人の関係者が集った=写真。
基調発題を行った小林節氏(慶應義塾大学名誉教授)は、自民党が「8月15日に靖国神社を参拝するのは日本人の社会的習俗、儀礼、常識である」と主張していることに異議を唱え、総理大臣が私的参拝をするならば、公用車を使わず、公設秘書も連れず、玉串料も私費で支払うべきと主張した。
また、国会で成立した安保関連法案を「戦争法」と断じ、「中国の脅威が叫ばれているが、高い文明と経済力を持ち、専守防衛に徹したアメリカの同盟国が脅かされることはない。なぜ日本が新たにアメリカの軍事産業の顧客になって、戦費破産しなければならないのか」と批判。
一神教の国同士が争う情勢の中で、「平和大国」日本が仲裁役として果たすべき役割があるとし、「信教の自由とは、信じない(宗教を捨てる)自由をも守ることであり、表現の自由とは表現しない自由をも保障するものである」と強調した。
続いて、藤丸智雄(浄土真宗総合研究所副所長)、松本久史(國學院大學神道文化学部准教授)、島薗進(上智大学グリーフケア研究所所長)の各氏が発題。
藤丸氏は、「神楽」が伝統行事として地域で強要されている事例や給食時の合掌など、「宗教性」と「公共性」の境界線を引く難しさを指摘し、松本氏は神社神道の立場から近代以降の「信教の自由」の論点を整理。島薗氏は、自民党の改憲草案について「個々人の自発性と共に共同体や政治の活力をも失わせ、共存のあり方を破壊するもの」と危惧を表明した。
続いて、委員長の本山氏(玉光神社宮司)によるコーディネーターのもと、「個人の尊厳」をめぐる現状などについて議論を深めた。