仏テロ 教会にも衝撃 WCC常議員会など祈り呼びかける声明 2015年11月28日
フランスの首都パリで11月13日、イスラム過激派組織「イスラム国」による連続襲撃事件が発生した。世界史を揺るがした数々の「宗教戦争」の再燃を示すような動きも見られる。世界中に大きな衝撃をもたらした今回のテロだが、パリ以外にも「イスラム国」による攻撃が発生、中東を中心に死者、負傷者が多数出ている。これまでシリアとイラクにまたがる国家の建設に力を注いできた「イスラム国」が、西側での無差別攻撃に方針を大転換した可能性がある。過激派による暴力の封じ込めという課題が新段階に入った。
教皇、宗教での正当化に否
「イスラム国」は16日、米国の首都ワシントンとイタリアのローマを標的とする攻撃を予告する動画をインターネット上に公開した。パリでのテロと同様の攻撃を行うと警告した。
キリスト教世界も大きな衝撃を受けている。教皇フランシスコは14日、「このようなことを人間が行うとは理解できない」と述べ、非人道的行為だと非難した。特に宗教が正当化の理由になってはならないと強調。犠牲者や家族ら「すべての人々のために祈る」と語った。
世界教会協議会(WCC)常議員会は14日、パリとベイルートにおけるテロ攻撃を強く非難した。中東教会協議会(MECC)は、レバノンのベイルートにある混雑した民間の商店街で12日に起きた爆破事件に対し、同情と怒り、そして同国の平和と安定のために働くという変わらぬ決意を、WCCと共に表明した。
ルーテル世界連盟(LWF)も「LWFはベイルートとパリの襲撃における大規模な命の喪失を非難する」と公式サイトで発表した。
英国国教会ジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教は、パリのテロ事件を「深刻な悲劇という絶望的なニュース」とし、「被害を受けた人たちと共に泣き、助けと正義を求めて祈る」と述べた。
世界メソジスト協議会も「このテロリストによって動機づけられた多発的な爆破や発砲、そして人質をとるパリ襲撃を非難する」などという声明を発表した。
世界福音同盟(WEA)は、テロ攻撃を非難するとともに、フランスとレバノンのために祈るよう諸教会に呼び掛けている。
大規模テロ事件が発生したフランスでは、政府の国を挙げて喪に服すのに、カトリック教会も加わることを明らかにした。合同プロテスタント教会も、犠牲者への同情とともに、命の力である福音への信頼を表明している。福音同盟(CNEF)も、負傷者と犠牲者の遺族たちへの憐れみと連帯を表すとともに、教会員に対し、犠牲者やフランス全体とその当局を支えて祈るよう呼び掛けている。