同じ神を信じてはいるが… 米ウィートン大学で論議、宗教学教授は解雇 2016年1月30日

 キリスト教徒とイスラム教徒は同じ神を崇拝しているのか――。この問いをめぐり、イリノイ州のウィートン大学で論争が巻き起こった。米紙「ウォールストリート・ジャーナル」1月7日付け(日本語版11日付け)が「オピニオン」欄でボストン大学のスティーブン・プロテロ教授(宗教学)の主張を掲載している。

 同大学で政治学を教えるラリシア・ホーキンス准教授は昨年12月、交流サイト(SNS)のフェイスブックに投稿。休職処分を受けた。その投稿とは、クリスマス前の「アドベント」の間、頭にスカーフを着用していたというもので、「わたしはイスラム教徒と宗教的な連帯の中にいる。彼らは、わたしのようなキリスト教徒と同じように聖典の民なのだから」と書いた。ウィートン大は、一連の話し合いの後でホーキンス氏の解雇手続きに入った。

 ウィートン大はキリスト教系の大学で、教職員は毎年、福音派プロテスタント教徒としての自覚を確認するため、信仰を約束する文書に署名することになっている。ホーキンス氏がフェイスブックに投稿した翌日、大学はキリスト教とイスラム教の「根本的な違い」を強調した声明を発表。その違いの中には「人類に対する神の啓示や、神の法、救済の道、祈りを捧げる人の生活に関する教えが含まれる」としている。大学が後に説明したところによると、ホーキンス氏を休職扱いにしたのはヒジャーブ(イスラム教徒の女性が身につけるスカーフ)をかぶったことが理由ではなく、キリスト教徒とイスラム教徒が「同じ神を崇拝している」というコメントを含む「神学上の発言」が理由だと説明した。

 イスラム教とキリスト教はともに、ただ一つの神を信じている。創造主であり、審判であり、預言者を通して話し、その言葉が聖典にまとめられている神だ。それでもこの二つの宗教は、同じ山の頂上へ続く2本の登山道というわけではない。キリスト教徒はコーランにある神の啓示を信じていない。一方、イスラム教徒はイエスが神の顕現であると信じていない。

 プロテロ教授は、複数の宗教や文化の共存を肯定する多元主義を装うこと、つまり、すべてのもしくは大半の宗教的な伝統が同じ真実に依拠していると装うことは、ウィートン大をはじめ、どこの言い争いにとっても解決にはならない、と主張している。(CJC)

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