ネット活用願う教皇の思いとは? アップルやグーグル首脳と相次いで会見 2016年2月6日
教皇フランシスコがインターネット世界の「大物」と相次ぎ会見している。各方面の指導者がバチカン(ローマ教皇庁)を訪れ、教皇と会見することは、珍しいことではないが、1月15日、ネット検索の大手グーグル会長を長く務め、今では親会社アルファベット会長のエリック・シュミットと会見した。しかもその1週間後の22日にはアップルの最高経営責任者ティム・クックと会見した。これが何を意味しているのか、観測筋の好奇心をかき立てている。
教皇は、ネットの技術的なことに関しては「ダイノザウルス」(時代遅れ)と決め込んではいるが、「ネットは神からの贈り物」と呼ぶほどに力を入れている。実際には教皇が自ら打ち込んでいるわけではないが、とにかく目を通して発信しているツイッターは、2013年10月にはフォロワーが1千万人を超えたほど。機会があれば携帯電話などの「自撮り」にも喜んで応じている。
カトリック教会の取り組むべき課題の一つに、青年層に働きかけ、彼らを力づけたいと教皇が考えていることは明らか。そこにインターネットを活用したい、と願っていることも確かだ。インターネットの善悪を決めつけるのではなく、善悪いずれのために利用するかは個人に委ねられている、というのが教皇の姿勢と見られる。
それでも今回の「大物」2人との相次ぐ会見は、すでに大きな計画が動き出しているのではないか、との推測を否定出来ない。2人が教皇と会見したと言っても、時間は10分から20分程度のもので、そこで実質的な協議が行われたのではなく、合意に達したことの最終確認のために行われたと見る方が自然。特に技術的なことは脇に置いて、教皇がある種の確信を持ったのは明らかのようだ。
アップルのティム・クックは資産を慈善活動に投じることを明らかにしており、グーグルのエリック・シュミットは自らの基金をエネルギーの持続的利用のために拠出している。さらにクックのバチカン訪問直前にアップルはアプリケーション開発センターをイタリアに開設することを明らかにした。南イタリアのナポリが候補地とされているが、南イタリアはマフィアなど組織犯罪集団の拠点でもあり、カトリック教会も対策に手を焼いている所だけに、注目される。(CJC)