信仰否定せず対話で事件明るみに 映画「スポットライト」のR・マクアダムス氏来日 2016年5月7日
神父による児童への性虐待の真実を、ボストン・グローブ紙が追及していった事実を描いた衝激の映画「スポットライト 世紀のスクープ」。ロードショー前日の4月14日、作品で紅一点の記者サーシャを演じたレイチェル・マクアダムス氏の来日を受けて、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で記者会見が開かれた=写真。記者たちからの質問にマクアダムス氏は一つひとつ丁寧に答えた。
まず、ジャーナリズムについてどのような洞察を得たかという質問には「ジャーナリズムとは影のヒーロー。この映画が文字通りスポットライトを浴びて、ジャーナリズムという影の仕事が認知されていくと嬉しい。個々の責任感も、ジャーナリズムがあることによって持ち続けられていると思う。長期的な調査報道は、記事が書けるところにたどり着くまでが大変だが、日々報われずとも真実に向け正しい方向に向かっていると信じる心が素晴らしい」と回答。
信仰心があるところになぜこのような事件が起きたと思うかとの質問には「トム・マッカーシー監督が『良い心を持っていても知らず知らず目を背け、我々がいかに共犯者になりうるか』と語っていた。信者にとって神父は最も神に近いため、被害を受けても声を上げることができなかった。脚本の段階ではこのような映画は一体誰が見るだろうと思ったが、実際には多くの人に支持され自信を持つことができたし、人々は真実を知りたいのだと知った。一生に一度の巡り合わせの作品だと思う」と回答。
「この役柄を通して、信仰についての考え方に変化はあったか?」という本紙の質問に対しては「わたしはプロテスタント家庭で育ったが、カトリック信者にはこの事実に向き合うことは辛いことだったと思う。わたしたちはカトリックなどの信仰を否定するのではなく、対話を通して事件を明るみにし、向き合っていかねばならない。わたしは敬虔な方ではないが、信仰心を持つ人たちの、事件と信仰の葛藤はとても理解ができる」と述べた。