テル・レヘシュで初期シナゴーグ発見 天理大・立教大の調査団が報告会 2017年1月21日

 日本の調査団(団長・桑原久男=天理大学教授)がイスラエルのテル・レヘシュ遺跡で、初期シナゴーグの建築遺構を発見したことに関する報告会が12月17日、天理大学(奈良県天理市)で行われ、関係者ら約60人が参加した。同調査団は、天理大学と立教大学の研究者が中心となって構成されたもので、2006年から調査を続けており、この発掘地はナザレから約10㌔、タボル山から5㌔に位置する。

 発掘担当者の1人である橋本英将氏(天理大学准教授)は、「テル・レヘシュにおける初期シナゴーグの発見」と題する講演で、イサカルの地アナハラトではないかと比定されている石灰岩盤の上に存在するテル・レヘシュ遺跡で、鉄器時代の遺跡の発掘過程で発見された、紀元1世紀、ローマ帝政成立直後期のシナゴーグではないかと考えられる遺跡の発掘状況と出土品について解説。

 続いて山野貴彦氏(聖公会神学院講師)は、「新約時代の初期シナゴーグ」との題で、シナゴーグの成立時期にまつわる諸説を紹介し、これまでに出土している同時代のシナゴーグの特徴と、今回の発掘成果が、これまでの発掘成果との比較対象に加わることで、これまでシナゴーグであると考えられてきた7例の発掘済の遺跡に8例目の遺跡が加わる可能性の意味について解説した。

 市川裕氏(東京大学教授)は「一神教の成立とガリラヤ地域」として、一神教とされるヘブライ宗教(ユダヤ教)とキリスト教とイスラム教の比較の中で、キリスト教が人であり神であるキリストを神とする一方、ヘブライ語話者の間では「アドナイ」と呼ばれ、ムスリムが「アッラー」と呼ぶ神への礼拝を中心にしている点、さらに儀式としての聖餐が存在する点で、同じ一神教でもむしろヘブライ宗教とイスラム教の方が近いのではないか、との仮説を提示した。

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