〝出会いの中で新たな一歩を〟 第1回賀川豊彦賞に認定NPO法人抱樸 2017年1月28日

 賀川豊彦の志を現代に継承・発展させるため、公益財団法人賀川事業団雲柱社が昨年設立した「賀川豊彦賞」。その第1回受賞団体に認定NPO法人抱樸(ほうぼく)(福岡県北九州市)が選ばれた(12月3日付既報)。1月13日、賀川豊彦記念松沢資料館(東京都世田谷区)で授賞式が行われ、抱樸理事長の奥田知志氏(日本バプテスト連盟東八幡キリスト教会牧師)と夫人の伴子氏が出席した。

 抱樸は1988年に「北九州日雇越冬実行委員会」として発足。2000年にNPO法人となり、名称を「北九州ホームレス支援機構」に変更。14年に「抱樸」に変更した。路上生活者の支援に始まり、困窮・孤立者全般への継続的かつ伴走的な支援を実施している。

 雲柱社理事長で同賞選考委員会委員長の加山久夫氏(明治学院大学名誉教授)は授賞にあたり、抱樸が経済的貧困のみならず、関係性の困窮に注目し、人と社会の新たな創造を目指していることが、賀川の思想と実践に相通じるものがあると述べた。

 受賞スピーチを行った奥田氏は、野宿生活は最貧困の状態であり、人間としての尊厳が奪われた状態だと主張。「『人は出会いの中で新たな一歩を踏み出せる』と示してくれたのは路上の先輩方。わたしたちが希望を届けたのではない。逆に希望をいただいた」と述べ、路上生活者が本気で生きようとしたことが受賞のすべてだと強調した。

 また、活動の中心にある「ハウスレス」(経済的困窮)と「ホームレス」(社会的孤立)という二つの概念を示し、自立支援により「ハウスレス」が減る一方、「ホームレス」が増え続けている現状を指摘。「無縁化する社会、非社会化する現代に対する闘いは、人が人であり続けるための闘い」だと訴えた。

 賀川豊彦賞は、現代社会において、国や地域社会の将来を展望し、先駆的なプロジェクトを立ち上げ、社会活動を展開している団体・個人を顕彰するもの。賞金100万円。詳細は同法人のホームページ(http://zaidan.unchusha.com/)を参照。

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