〝道徳の教科化は排外的差別を助長〟 NCC教育部総主事 比企敦子氏 2017年3月4日
日基教団奥羽教区北東地区第48回「信教の自由を守る日」2・11集会が2月11日、同教団大三沢教会(青森県三沢市)で開催された。9教会、2伝道所から55人が参加。
開会礼拝では白戸清氏(同教団野辺地教会牧師)が「国を高めるものは……」と題し、トランプ米大統領のような「賢さ」ではなく、真実の神を畏れ、神の義の支配を求める中に、正しい「愛国心」が生まれるのではないか、と問いかけた。
続いて、比企敦子氏(日本キリスト教協議会=NCC=教育部総主事)が、「愛国心教育を問う」と題して講演。同氏はキリスト教学校における平和教育や人権教育の実践を紹介し、「中高生がアジア・太平洋戦争での被害・加害の歴史を理解し、平和と和解について考えるには正しい歴史認識と出会いの場が必要」と述べ、歴史修正主義に立つ歴史・公民教科書の問題点も指摘した。
さらに、道徳の教科化について「生徒一人ひとりの多様性を認めず同質性を促し、愛国的共同体へと誘導する点」「異なる立場に置かれた少数者に対して、排外的な差別を助長させる危険性がある点」など、愛国心教育の問題性を問うた。
「国家の『義』とは国家に都合の悪いものを排除することを目的とし、異質性は排除されてしまう。『国旗・国歌』強制の違法性は最高裁でも否決され、もはや日本の司法では解決できない」と同氏。国際人権法では「良心的な拒否」を守ることが遵守されているが、基本的人権を守ることへの勧告は無視され続けているという。
終了後、キリスト者としての姿勢を明確にするための声明が参加者一同で採択された。
北東地区では「建国記念の日」が適用されて以来、一貫して集会を開催してきた。主催者らは、「今後も国家の『変容』に異を唱えながら、点と点が線となるように連帯しつつ、小さな『声』をキリストの平和のために大きな『うねり』にしていきたい」としている。
(報・折野宏一=日基教団三本木教会員)