ムニブ・ユナン氏に庭野平和賞 諸宗教間対話に向けた取り組み評価 2017年3月11日
公益財団法人庭野平和財団(庭野浩士理事長)は2月20日、第34回庭野平和賞に、ルーテル世界連盟(LWF)議長のムニブ・A・ユナン氏(ヨルダン及び聖地福音ルーテル教会=ELCJHL=監督)を選出したことを発表した。ユダヤ教徒、キリスト教徒、ムスリムの対話促進に貢献していることなどが評価された。贈呈式は7月27日、東京・六本木の国際文化会館で行われる。
ユナン氏は1950年、エルサレムでパレスチナ難民の家庭に生まれた。自らも国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の難民資格を持つ。
フィンランドのヘルシンキ大学で神学を修め、パレスチナのルーテル教会で牧師となった後、93年に「アウグスブルク信仰告白」をアラビア語に翻訳。98年からELCJHL監督、2010年からLWF議長を務めている。昨年9月、中東教会評議会(MECC)の名誉会長に就任した。
昨年10月31日にスウェーデンのルンドで行われたローマ・カトリック教会とLWFによる宗教改革を記念した合同礼拝では共同司式を行い、礼拝後には教皇フランシスコと共同声明に署名した。
諸宗教間対話に向けた取り組みとしては、91年にパレスチナ人キリスト教徒とイスラエル人ユダヤ教徒の合同組織「ヨナ・グループ」をユダヤ教のラビと共に設立。05年にはイスラエルとパレスチナの三つの宗教の最高指導者と共にエルサレムで聖地宗教評議会(CRIHL)を立ち上げた。
同賞の受諾メッセージの中でユナン氏は、諸宗教協力が人類の繁栄と世界の平和という大きな目標に向けて絶対に必要なものであるとし、宗教には公益に向かって人々を助ける力が備わっていると述べた。
同賞は、宗教的精神に基づいて宗教協力を促進し、世界平和の実現に尽力した個人や団体を表彰するもの。
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(C)H.Putsman Penet/LWF