痛み消えぬが希望を 各地の教会で追悼の催し 2017年3月25日
6年目の3月11日を迎え、各地で追悼の催しが行われた。日基教団仙台青葉荘教会(宮城県仙台市)では、県内の教会合同による追悼礼拝が行われ、200人を超える信徒らが地震発生時の14時46分にあわせて1分間の黙祷をささげた(仙台圏宣教協力会主催)。同協力会委員の中田元氏(基督兄弟団仙台教会牧師)は、「6年間の痛みがまだ消えない人もいるが、神にある希望が語られた」と振り返った。
同じ11日には他にも、「宮城三陸3・11東日本大震災追悼記念会」が宮城県気仙沼市の保守バプテスト同盟第一聖書バプテスト教会で開かれ、約130人が参加(同準備委員会主催)。12日には同じ準備委員会(委員長・中澤竜生氏=基督聖協団西仙台教会牧師)の主催による「宮城三陸3・11東日本大震災追悼コンサート」が石巻市で行われ、約140人が集った。
東日本大震災から6年 心の整理やっと
仙台青葉荘教会での追悼礼拝では、まず宣教協力会委員長の中野正義氏(保守バプテスト同盟泉聖書バプテスト教会牧師)によるあいさつと祈りがささげられ、日本福音同盟(JEA)援助協力委員の村上正道氏(日本福音キリスト教会連合湘南のぞみキリスト教会牧師)のあいさつが続いた。
潮義男氏(仙台青葉荘教会牧師)は「神に隠されたいのち」(コロサイ3・1~4)と題するメッセージの中で、「行方不明者がなお2千500人おられる。親しい人を捜し求めていくと同時に、わたしたちのいのちと永遠のいのちにつながるものを見つめたい。神と共に歩むことの祝福、神に隠されたいのちがキリストの再臨の時に現れてくる。希望を持ちつつ、証ししつつ、教会は宣べ伝えていくことが必要」と語った。
続いて、被災地支援のために何度も東北へ足を運んできたMIGIWAさん=写真下=が特別賛美をささげた。支援活動の中で作ったという「この世界を作られた神様が」も披露。「君がすべてを失っても、愛する人を失っても、その痛みをすべて知り、共に泣いている方がいる。この世界を作られた神さまは、無情な方ではなく、君を愛して愛してやまず」との歌詞に思いが込められている。
参列者からは、「『3・11を忘れない』との言葉が意味しているものを、教会は本気で、真剣に考えて背負う必要があるだろうと改めて考えた。『忘れたい』と思うことと、『忘れてはならならいこと』を明らかに示していけるように」「復興の形は見えていても、被災者の心はあの時のまま」「自然の前では、人は無力。せめて人と人との間に争いがなくなりますように」などの感想が寄せられた。
中には「震災後3、4年目にしてやっと心の整理ができ、追悼集会に出席できるようになった」と話す参加者もいた。
日基教団「救援」に感謝礼拝 エマオはボランティア募集終了
日基教団東日本大震災救援対策本部(本部長=石橋秀雄・教団総会議長、越谷教会牧師)は3月10日、「東日本大震災6周年記念礼拝――被災地を忘れることなく、救援対策諸事業への感謝をこめて」を早稲田奉仕園スコットホール(東京都新宿区)で行った=写真下。教団関係者ら約110人が参加した。
礼拝は石橋氏の祈祷で始まり、張徳謙氏(台湾基督長老教会前総幹事)が「共に苦難を担い、神の恵みを分かち合う」との題で説教した。説教の中で張氏は、今日まで支援が続けられたのは、「一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共に喜ぶ(一コリント12・26)」とのみ言葉に国内外の多くの教会が応答した結果だと語った。
説教後には吉田博(早稲田奉仕園専務理事)、古賀博(早稲田教会牧師)、邑原宗男(奥羽教区総会議長)の3氏による連祷の時間がもたれた。吉田氏は祈りの中で、「毎年おとずれる3月11日のこの時、主はわたしたちに何をすべきか問うてくれる」と語った。
その後、被災者支援に特に貢献したとして、台湾基督長老教会、東京YMCA、練馬バプテスト教会の3団体に感謝状の授与が行われた。多額の献金を寄せた台湾基督長老教会については、それが「あり余る中から出されたものでは決してなく、ある学校では生徒、教員が食事を1食ずつ抜いて捧げられたもの」だったことが紹介された。東京YMCAは福島県在住の親子を対象とした「こひつじキャンプ」を28回にわたって開催、練馬バプテスト教会は毎年クリスマスに、手作りのクッキーを被災地へ送ってきた。
礼拝後には日基教団東北教区被災者支援センター・エマオへ訪れたボランティアワーカーの交流会が開かれ、およそ40人のワーカーが集った。同センターは震災当初の2011年3月より仙台、石巻で活動を続け、全国から延べ8千500人以上のボランティアワーカーを受け入れてきたが、今年3月末をもって募集を終了する。
今年4月からの活動方針として、リピーター(ボランティアワーク経験者)と仮設住宅などに暮らす被災者との交流を中心にすることが説明された上で、菊池護氏(被災者支援センタースタッフ)は「被災者にとっても、被災地と出会ったわたしたちにとっても、『新しい日常をどう作るか』が課題」と語った。