〝知性と霊性分離しないことが重要〟 TCUがホイートン大学学長招き講演 2017年6月10日
東京基督教大学(TCU、小林高徳学長、千葉県印西市)は5月16日、米イリノイ州のホイートン大学学長であるフィリップ・ライケン氏を招き、「キリストを核に――神の国のリーダーシップのための信仰と学問」と題する学内向けの講演会を開催した=写真。ホイートン大学は1860年、とあるグループの祈りから始まった福音主義の私立大学で、「教会だけでなく社会に貢献する人間を育てること」をミッションに掲げている。
同氏は、「キリストを中心にしたリベラルアーツ教育」の歴史を概観した上で、「ルターもカルヴァンも、聖書だけが重要だとは言っていない。全人格的教育も必要であり、神の知恵の秘訣に迫るものである」とし、同大学が教育の核としている点について解説した。
同氏によると、米国内の多くの大学はキリストの名によって建てられたが、信仰面での強調は薄れていった。ミシガン州立大学でも20世紀半ばまではチャペル出席が義務付けられていたという。「大学生活すべてにおいてキリストの臨在があることを認めること、知性と霊性が分離しないことが重要」と強調した。
ホイートン大学では、学生だけでなく教員もキリスト者として自身の専門分野をどう理解するか徹底的に考え、各自ペーパーにまとめたものをウェブ上で公開している。
キリスト教リベラルアーツは、「神の国に仕える市民の教育」であり、「キリストのために世界で生きる学生、世界を理解しキリストのために世界を勝ち取る学生を育てている」「学ぶ目的は好奇心でも、虚栄心でもない。人に仕えるために学ぶ。学ぶことは愛。自分だけでなく、出会う人にこのことを伝える必要がある」と呼びかけた。
講演後、学生からホイートン大学の課題について問われると、「人種的に多様な大学を目指しているが、うまくいっていない面もある」と応じ、学生の25%、教員の15%が「マイノリティー」の人種だが、共に暮らすことは容易ではないと明かした。