多角的な立場から宗教改革を問う 日本宣教学会全国研究会開催 2017年7月21日
日本宣教学会(JMS、神田健次代表)の12回目となる全国研究会が7月1日、「今日の宣教を問う:宗教改革500年を機に」と題し、カトリック麹町教会岐部ホール(東京都千代田区)で開催され45人が出席した。木ノ脇悦郎氏(関西学院大学教授)が「エラスムスにおける宗教改革と寛容」と題し講演。
宗教改革を論ずる際にエラスムスがほとんど扱われないが、エラスムスも聖書に重きを置き、聖書の正しいメッセージ獲得のため、原典を忠実に読むことの大切さにこだわったと解説。ヒエロニムスによるウルガタ版が神聖視されていたこの時代に『校訂版新約聖書』を出版したと紹介した。この聖書は右側にギリシア語、左側にエラスムス本人による訳が載っており、読者に向けた序文に「全ての人に聖書を読む機会が与えられるように」と記されていたという。
エラスムスは改革を唱えながら改革派に属さなかったことで非難されたが、新たな派閥を作っても相対性は破られ、過ちが起こると考え、分裂を起こすのではなくカトリックに留まりながら改革を続ける姿勢をとったとし、エラスムスの再評価を提起した。
他に、安田真由子(シカゴ・ルーテル神学校大学院博士課程)、角田佑一(上智大学専任講師)、折井善果(慶應義塾大学准教授)の各氏らがそれぞれ発表した。