「存在の価値」の再認識を 第10回キリスト教性教育研究会公開研究大会 2017年9月11日
キリスト教性教育研究会(水谷潔会長=日本福音キリスト教会連合春日井聖書教会協力牧師)が主催する第10回公開研究大会が8月17日、日本聖公会ナザレ修女会聖家族礼拝堂エピファニー館(東京都三鷹市)で開かれ、40人が参加した。今回のテーマは「改めて問う『愛する』ってどういうこと?――アブステナンス性教育の意義・成果と課題」。アブステナンスとは、性行動のコントロールを指す。同研究会の「結婚まで性行動の開始を待つ」という理念の正しさと有効性を再認識することを目的に開催された。
基調講演で富永国比古氏(ロマリンダクリニック院長)は、この10年性教育について社会では議論が深められなかったと指摘。インターネットの普及に伴い、セックス依存症の増加が問題になっていることに触れ、視覚から入るので依存症になりやすく治りにくいと言及。早期に性行動を開始した人はうつ病にかかりやすいというデータを紹介し、若者が早期に性行動に走る背景には、性の自由化を煽るメディアの影響が大きいと強調した。性は人格の中枢にあるので何かあると人は深く傷つくとし、性的トラウマをもった人たちの回復は難しいが、「あなたには存在する価値がある」という認識を持ってもらうことが必要だと訴えた。
次いでテモテ・コール氏(ファミリーフォーラムジャパン教育担当理事)が「性教育を理解する――ダーウィンからSIECUS一世紀にわたる性教育の進化」と題して講演したほか、第二部では水口洋(玉川聖学院中高等部長)、永原郁子(マナ助産院院長)、水谷の各氏が教師、医師、牧師の立場からそれぞれ実践報告を行った。