会衆賛美の始まりを探る 日本賛美歌学会大会 2017年9月21日

 賛美歌に関心を持つ超教派のメンバーが音楽、言語、神学などの視点からの賛美歌研究や海外の新しい賛美歌の紹介をしている日本賛美歌学会(高浪晋一会長)。その第17回大会が9月9日、「宗教改革と会衆賛美――500年とこれから」と題し、立教学院諸聖徒礼拝堂(東京都豊島区)で開催され、約90人が参加した。

 大会前半では、初めに江口再起氏(ルーテル学院大学教授)=写真=が「神の声とルターの耳」と題して講演。ルターの行った教育改革や社会改革、賛美歌の会衆参加などに触れた後、ルターの音楽思想について解説した。

 同氏は音楽について、ルターが「神のみごとな贈り物であり、神学にもっとも近いものである」と述べていることを紹介。ルターが世界は神の第一声によって始まっており、信仰とはキリストの声を聴くことであり、福音とは口の説教だと考えていたこと、我々がキリストの言葉を語るならその口はキリストの口となると述べていたことを例に挙げ、「わたしたちが賛美歌を歌う時、その口はキリストの口になる」と主張した。

 また「神がそのみ言葉をよく聴かせるために、こうして耳を与えてくださったということは最大の業」というルターの言葉を受け、礼拝とは説教を通し「神が」「我々に」声を聴かせてくださるもので、「神が我々に奉仕して下さる」ものだと強調。   キリストの声を心の耳で聴き神の恵みを受け止めることが肝要で、神の声とわたしたちの耳が合わさって初めて神の声は響くと訴えた。

 ルターによる礼拝改革とは「『神への奉仕』から『神から我々への奉仕』の転換」「礼拝への会衆参加」「会衆の賛美歌への参加」であり、それはルターから我々への最大の贈り物だと締めくくった。

 続いて秋岡陽氏(フェリス女学院大学学長)が「会衆賛美の500年とこれから」と題し講演。『讃美歌21』に現在収められている、ルターが詞や曲を手掛けた10曲を紹介。また16世紀から現代までの、プロテスタント教会における会衆賛美歌の特徴や推移を解説した。

 二つの講演に対し宮越俊光氏(同大会実行委員長、カトリック中央協議会司教協議会秘書室)が応答。わたしたちは礼拝での聴くことと歌うことが、教派を越えてできる場にあり、学会はこの流れの中にあると述べ、今後も教派を越えてエキュメニカルな対話を続けることが大切だと締めくくった。

 後半は、知られていない新しい賛美歌を紹介し、共に歌うことを意とした「ヒム・フェスティバル」が行われ、このたび新たに訳された賛美歌などを参加者全員で歌い上げた。閉会後に行われた総会では、新会長に宮越俊光氏が信任された。

 新曲7曲を含む大会ブックレットを500円で販売。問い合わせは日本賛美歌学会Eメール=info[アットマーク]hymn-soc.jpまで。

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