【置かれた場所は途上国】 バングラデシュ■中■  人気のスポーツ 三浦 曜 2017年10月11日

 バングラデシュで一番人気のスポーツはクリケットです。街角や事業地の村の中でも、子どもたちや青年がプレーしているのを見かけます。日本ではなじみが薄いですが、イギリスの旧植民地の一部では、人気のスポーツです。ワールドカップのような国際大会もあります。残念ながらまだ女性の間ではスポーツ自体が普及していないため、街角で女性がプレーしているのを見ることはないですが、女子代表のチームもあります。

 バングラデシュ男子代表チームはベンガルトラにあやかって「タイガース」と呼ばれており、人気はありますが、世界レベルでは強豪とは言えません。しかし今年の国際大会ではベスト4という好成績を収めることができました。準決勝は隣国の強豪インドが相手だったのですが、同僚は、スコアが気になって仕事に集中できないようで、就業時間の終わる5時になったらテレビの前に陣取って一喜一憂していました。

 どのようなスポーツかというと、ボールとバットを使うのでイメージは野球に近いのですが、い ろいろな相違点があります。まずは試合時間の長さ。試合形式が三つありますが、最長で5日間に及ぶ試合もあり、それでも決着がつかないと引き分けになります。バッターが打って走ることで得た点数を競うのは同じですが、野球と違ってベース(のような物)が2カ所しかないので、バッターは本塁と一塁の間を行き来します。ファールボールがないので360度どこに打っても良く、ホー ムランのように打球がフェンス(実際は柵ではなく白線)を越えると6点入ります。簡単に点が入るので293対260といったスコアもざらにあります。他にも、アウト(ウィケットと言います)は各チーム10アウトまで、グローブは使わないので素手、投球がワンバウンドなど相違点を挙げるときりがありません。

 事業地の村で見るのは正式なクリケットというより、テニスボールのような少し柔らかめのボールと木のバット(木の板?)を使って遊ぶという感じです。しかし打者と投手は花形なので、あまりスポーツが得意そうでない子や、明らかに周りよりも年齢の低い子は守備要員になり、なかなか打つ番や投げる番が回ってこないようでした。その辺りは国と歳は違うものの、自分の小学生時代の遊び場事情と変わらなさそうです。上手下手にかかわらず、ある程度人数がいないと成り立たないし、一緒に遊ぶから楽しいのだと今になって思ったりもします。

 傍から見ると変なスポーツですが、人を一つにする力、文化や宗教や言語の違いに関係なく人を引き付ける力は随一です。バングラデシュという国を平和な形で 一体化する役割を、今後も担っていってほしいと思います。

(写真提供・協力:ワールド・ビジョン・ジャパン)

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