「難民支援はキリスト者の使命」 タンザニアの難民救済組織が来日 2017年11月11日

  周辺国から難民が流入している東アフリカのタンザニア連合共和国。タンザニア・ルーテル教会難民救済組織(TCRS、本部ダルエスサラーム)の理事長でタンザニア・ルーテル教会牧師のレナード・ムテンジ氏=写真左=と、同団体ディレクターのシャングヴェリ・エマニュエル氏が日本福音ルーテル教会にブルンジ難民救援活動に関する理解とパートナシップを求め、9月に初来日した。

  TCRSは緊急事態や難民問題への対策、貧困層への長期のサポート事業などを目的とし1964年にタンザニアの首都ダルエスサラームで活動を開始。

  今回の来日は「タンザニア『ブルンジ難民支援の会』」の代表を務める横田弘行氏(日本福音ルーテル教会引退牧師)の呼び掛けにより実現したもの。3氏にブルンジ難民問題と救済活動について話を聞いた。

  民族紛争によりタンザニアに流入し続けたブルンジ難民は、2012年にタンザニア政府が難民をブルンジに帰還させたことで解決したと言われるが、ムテンジ氏によるとタンザニアでの滞在が長かった彼らが、ブルンジで生活するのは容易なことではないという。

  TCRSではブルンジに帰還する難民に同行し、彼らの居住地、生活水、安全な食糧の確保のため、汚染された水の浄化や、食糧自給のため現代農業を教授している。またいったん国外に出た彼らが帰還することで起こるさまざまな問題の解決への協力も行っている。両氏は最も大変なことは「難民の心のケア」だと語る。目の前で家族を殺されたり、子どもが親の前でレイプされたりという経験からトラウマを抱えている人たちに対し、TCRSは心理学の専門家によるカウンセリングを行っている。ムテンジ氏は「教会の責任は食べ物の確保以上に、彼らの魂を癒すこと」と主張する。

 エマニュエル氏は、タンザニアでは難民救済活動に関して、TCRSの活動にカトリック・レリーフ・サービス(CRS)が資金を提供したり、TCRSが活動しているギボンドの難民キャンプで、難民の登録をカトリック団体が担当したりと教派を越えた協力関係が成り立っていると話す。

 日本の教会に対して期待することは、まず難民支援活動について知ってもらうことだと言う。さらに日本の教会員たちにタンザニア・ルーテル教会の青年たちの活動の広さを見てもらい、そのやり方を日本に持ち帰ってもらう、また日本の医療や心理学のスキルを持つ人たちに現地で支援してもらうなど、お互いに益になるような協力関係を築いていきたいと語った。

 ムテンジ氏は「聖書に『あなたの隣人とは誰』とある。わたしたちキリスト者は兄弟であり、世界に対し責任をもっている」「キリスト者は弱者をサポートするために神から遣わされているので、難民支援はキリスト者の使命」と語る。

 横田氏は日本福音ルーテル清水教会在職時の95年に「タンザニア『ブルンジ難民支援の会』」を立ち上げ、物資などによる難民支援活動を始めた。2003年からは開発支援として孤児が勉強できるための資金を提供しており、毎年常に5人の孤児が学校に通っている。

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