【列島縦断 書店員日記】 ごめんね、ルターさん 内藤優祐(CLCブックスお茶の水店) 2017年11月21日
この文章が「キリスト新 聞」に載るのは11月らしいが、締め切りは10月末なので、今回はキリスト教書店とハロウィンについて書きたいと思う。
意外に思われるかもしれないが、日本のキリスト教はハロウィンを祝わない。というか、どっちかと言うと「親の仇」のように思っている節がある。キリスト教っぽく見えるけど実は全然違う悪霊のイベントめ……!といった感じだ。だから多くの教会はこの時期にバザーをしたり故人の記念礼拝を行ったり、キリスト教書店はひと足先にクリスマスをアピールしたりするのだが、今年はちょっと違っていた。
何と言っても今年は宗教改革から 500年の節目の年、そしてハロウィンの当日こそ、ルターがウィッテンベルク城の門に95カ条の論題を打ち付けた(とされる)記念すべき「宗教改革記念日」なのだ!
だから当然、この時期の店内は宗教改革一色になるのだろうと思っていた。実際、当店もルターやカルヴァンの著作、ドイツから輸入したルターグッズによるフェアを夏からがんばって開催してはいた。
しかし!しかしである。実際に10月に入ってみると、宗教改革はどこ吹く風とばかりにクリスマスコーナーがばんばん幅を利かせてくる!場所がないからとの理由で「宗教改革フェア」は9月末で終了し、力作のポップは早々に仕舞いこまれ、空いた場所にはクリスマスカードに押し出されてきた聖書コーナーが収まった。
宗教改革関連の著作はいつもの定位置にひっそりと戻り、ルターグッズはみんな卸元に返品した。10月末の時点で、店内は完全にクリスマス一色である。
ルターを心の師と仰ぐわたしとしては口惜しい限りであるが、いくら500年の節目と言えどもクリスマスの売り上げと勢いには敵わない……。ルターさん、あなたが始めたと言われるクリスマスツリーを当店ももうそろそろ飾るよ……。
(ないとう・ゆうすけ)
→ 次号は大阪キリスト教書店