【置かれた場所は途上国】 エチオピア■上■ こころがつながる支援を 大井光一 2017年12月1日
わたしは、2017年2月から10月までの間、エチオピア連邦共和国の最西端、南スーダン共和国と国境を接するガンベラという地域に拠点を置き、南スーダン国内の紛争から逃れてきた難民の青少年を対象に、難民キャンプ内での学校建設、教員研修、そして難民キャンプの住民を対象に、教育の重要性についての意識啓発活動などの支援を行っています。
エチオピアは、平均の標高が2100~2400mで、高地はとても過ごしやすい地域ですが、わたしたちが活動しているガンベラは低地にあり、特に2~4月は、日中40度を超えるとても暑い地域です。今でも事業地に最初に訪れた日のことをよく覚えています。日中40度を超える、うだるような暑さの中、何万人もの難民が生活をしているキャンプを訪れ、現地のスタッフと共に活動をしました。出張・駐在をする前から、事業地での生活はとてもたいへんだよ、と同僚から話を聞いてはいたのですが、いざ自分が赴いてみると、仕事は常に体力勝負。環境やめまぐるしく変化する支援現場のニーズ・状況に柔軟に対応していく力も必要であることに気付かされました。
わたしは、限られた期間しか現地には駐在しませんが、実際に難民の人々は常に水や食糧が不足している環境で生活をしているのです。さらに、いつ自分の国に帰れるか分からなかったり、両親がどこにいるのかも分からなかったりといった状況で、精神的にも厳しい生活を過ごしている方が大部
分です。
そんな環境の中で、日々難民の人々と活動をしながらわたしが思わされていることは、一人ひとり、出会った人たちの名前をできる限り覚え、個人的なつながりを持つということです。例えば、わたしたちは教育支援をしていますので、よく話をする生徒の名前を覚え、時間があるときには個人的な話をするようにしています。活動の日に見かけた時には、「元気? 最近どう?」と声をかけていました。向こうからも「日本に行っていたの? 光一の家族は元気だった?」と聞いてきてくれます。そうすることで、漠然とした支援ではなく、人と人とのこころがつながる支援が生まれるのではないかと思っています。
ワールド・ビジョンの活動の根底には、ただ支援を届けるだけではなく、わたしたちの支援によって支援を受ける人々の生き方が変わっていくことを目的とした「トランスフォーメーショナル・デベロップメント」(変革的な開発)といった目標があります。わたしたちの支援によって、1人でも多くの難民の生活がより良い方向に変革されていくような活動を、これからも続けていきたいと思っています。
おおい・こういち 早稲田大学法学部卒業後、エルサレム・ヘブライ大学法学修士(国際法・人権)にて、国際人道法を中心に学ぶ。難民支援機関でのインターンを経て2015年1月に入団。現在、支援事業部緊急人道支援課にて、南スーダン難民事業を担当。