「核兵器と生きることは間違い」 ノーベル平和賞受賞者が演説 2017年12月25日
2017年のノーベル平和賞授賞式が12月10日、ノルウェーの首都オスロで開かれた。核兵器の廃絶運動を展開してきた非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が受賞=写真=し、メダルと賞状が贈られた。ICANは100カ国を超える約470団体からなる連合体で、07年に設立。本部はスイスのジュネーブに置いている。
ICANは、世界各地の反核団体や長崎や広島の被爆者と連携し、核兵器の非人道性を訴えてきた。7月に国連が採択した核兵器禁止条約の成立に向け、主導的な役割を果たしたことなどが評価された。唯一の戦争被爆国である日本は条約に署名していない。
ICANのベアトリス・フィン事務局長は演説で、「核兵器使用のリスクは冷戦時代よりも高まっており、武器とともに生きることは大きな間違いになる」と指摘。「核兵器の終焉(ルビ:しゅうえん)か、人類の終わりかが問われている。民主主義や自由のために、理にかなった選択をしなければならない」と核兵器の非合法化と廃絶を求めた。
授賞式では、広島での被爆体験を証言してきたカナダ在住のサーロー節子さん(カナダ合同教会員)も演説し、広島に原爆が投下された当時の惨状を語った。「核兵器は人類と共存できず、私たちが愛しているすべてのものを危険にさらす。これ以上、この狂気を容認してはいけない」と訴えた。
賞金は900万スウェーデン・クローナ(約1億2千万円)。フィン事務局長は、賞金で基金を設立し、条約の早期発効を強化する活動に使う方針を表明している。(CJC)
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