【列島縦断 書店員日記】 本にも「入手するまでの物語」を 内藤優祐(CLCブックスお茶の水店) 2018年2月1日

キリスト教出版販売協会に加盟していないため、年明けに沖縄へ行っていないCLCブックスお茶の水店です(詳細は前号を参照)。
仕事とはいえ沖縄とはうらやましい! 年が明けてクリスマスのバタバタも終わり、ようやく落ち着いて仕事ができるようになってきたのですが、接客をしていて最近気になることが一つあります。それは注文を受けて期日指定を確認すると、かなりの確率で「できるだけ早く」と言われること。「特に必着日はないけどできるだけ早く」というご用命を受けるたびに、ああ、これは多分ネット通販の影響なんだろうなと感じます。
注文ボタンをクリックすれば翌日には商品が自宅に届く。電子書籍なら数秒から数分でデータが端末にダウンロードされる。とっても便利だしどんどん広まるのも当然だと思います。しかし、わたしは同時に「そんなに便利でいいの?」とも思うのです。パッと見かけてポチッと注文してサッと届く。そんなにいつもいつも、簡単に商品が入手できていいのでしょうか?

朝4時起きは辛いけど自分で釣った魚は美味しい
自分で育てた野菜は新鮮だし、自分で釣った魚は美味い。やっぱりそれはスーパーで買ってきたものとは違う。おそらくその違いは、「入手するまでの物語」があるかどうかです。そして書籍も、時にはそういう物語があってもいいんじゃないかなと思います。ずっと探していた本がたまたま入った書店で見つかった。そうやって入手した本はきっと大事な1冊になります。
書店にはネット通販にはない「何か」がまだまだあるとわたしは考えています。そして、そんな何かを見つけ出してお客様に提供できたら、当店ももっといい書店になれるんでしょう。(ないとう・ゆうすけ)
→ 次号は大阪キリスト教書店