カトリック正平協 島薗進氏が講演 石橋湛山の「宗教的信念」継承を 2018年3月1日

 カトリック正義と平和協議会(勝谷太治担当司教)は2月16日、「信教の自由の危機――150年の節目を迎えて」と題し、カトリック麹町教会(東京都千代田区)で公開講演会を開催。島薗進氏(上智大学特任教授)=写真=が「国家神道と信教の自由」と題して講演し、約130人が参加した。

 同氏は、1945年にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が政府に対して発した覚書「神道指令」に、軍国主義廃止は盛り込まれているが、皇道神道、国家神道については言及されておらず、国家神道は戦後も生きていると指摘。また、日本が他国よりも優れていると考える人たちは、現在も天皇を中心とした秩序=「国体」護持を求めており、彼らは神社本庁が国家機関になることを目標としているとした。

 また、明治天皇崩御の報を受け自害した乃木希典(1849~1912年)が戦前に英雄として称えられたことを例に挙げ、「明治政府が天皇を神格化したため、すでに江戸幕府が禁止していた殉死が起こった。現政権は明治維新を称賛しているが、維新が称えられる時には、神道による国家統一の考え方も生きている」と述べた。キリスト教抑圧の代表的な事例として、1932年に上智大学生が靖国神社参拝を拒んだことで起こった「上智大学事件」について解説、信教の自由が脅かされる時、まずキリスト教が攻撃されると強調した。

 最後に、明治神宮創建反対などを訴えたジャーナリストで第55代首相を務めた石橋湛山(1884~1973年)を紹介し、「石橋は宗教的信念の下に、力になびく人たちを冷静に見ている。キリスト者は彼の精神を継承していくべき」と訴えた。

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