【聖書翻訳の最前線】 旧約聖書③「相続」(申命記15章4節) 2018年4月21日
③「相続」(申命記15章4節)
新共同訳の旧約聖書には、嗣業(しぎょう)〈ナハラ〉という言葉が使われていました。
あなたの神、主は、あなたに嗣業として与える。
土地において、必ずあなたを祝福される
[新共同訳]
新約ではナハラにあたるのがクレーロノミアで、その訳語として「相続」、「受け継ぐ」が使われています。この度、「嗣業 」ではなく、新約ですでに使われている訳語を使うことになりました。
あなたの神、主が相続地としてあなたに所有させる地で、主は必ずあなたを祝福される
[聖書協会共同訳]
旧約聖書では、イスラエルの民が約束の地を相続したのですが、実はそれは、イエスを信じる新しい神の民が、世界を相続することを指し示していました。
世界の相続人になるという約束が、アブラハムやその子孫に対してなされたのは、律法によるのではなく、信仰の義によるのです。(ローマ4章13節)
[聖書協会共同訳]
旧・新約の訳語を統一したことで、旧・新約を貫く救いの計画がより明らかになりました。
(『聖書 聖書協会共同訳――特徴と実例』より)