【聖書翻訳の最前線】 旧約聖書⑦「誇る」(箴言31章30節) 2018年5月11日
⑦「誇る」(箴言31章30節)
この箇所は伝統的に、主を畏れる女性が「たたえられる」と訳されてきました。
主を畏れる女こそ、たたえられる。 [新共同訳]
主を恐れる女はほめたたえられる。[口語訳]
しかし、ヘブライ語の「ハラル」のヒトパエル形は、「誇る」という意味で、他の箇所ではそのように訳されています。「たたえられる」と訳されているのはこの一箇所だけです。恐らく、主を畏れる女性が誇るのはふさわしくないと考え、訳を工夫したのでしょう。
しかし、「心のまっすぐな人は皆、誇ることができます」(詩編64章11節)とあるように、主を畏れる人は、主にあって誇ることができます。
そこで、今回、次のように原語の本来の意味で訳しました。
あでやかさは偽り、美しさは空しい。
主を畏れる彼女こそ、誇ることができる。
[聖書協会共同訳]
伝統にとらわれずに原語に近づく努力をした結果、今までと違ったメッセージが伝わるようになりました。
(『聖書 聖書協会共同訳―特徴と実例』より)