【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 誰がために戦う 総督 2018年11月1日

 ヒ―ロ―とは孤独なものである。昔からそう決まっている。正体を隠しながら人助けをし、誰から褒められるでもなく、特段儲かるわけでもなく、時に理不尽な理由でなじられ、罵倒され、家族にも打ち明けられないような秘密を抱えることもある。我らが大先輩であるデビルマンは、自分が守ろうとしていた人間の本性に絶望してしまうし、スパイダーマンはヒーローとして生きるか、1人の人間として生きるか究極の選択に苦悩した。

 キョウカイジャー諸君も、ここまでよく耐え抜いた。我が輩と同時に参入したゴールドに続き、ホワイトが名乗りを上げ、特命を帯びた初代ゴールドに代わり、2代目が加わってくれた。しかし、戦績は決してかんばしいとは言いがたい。いまだ当の教会は閉鎖的だし、高齢化、限界集落化の勢いは留まるところを知らず、にもかかわらず信者たちの危機意識が高いとは言えない。

 ここで今一度問おう。碇シンジはなぜ、汎用人型決戦兵器に乗らなければならないのか(「アムロはなぜ、モビルスーツに乗らなければならないのか」でもいい)。キョウカイジャーが戦うべき相手は誰か。そして、伝道宣隊は「誰がために戦う」のか。

 振り返れば、昭和のヒーローはあまりに自己犠牲を美化しすぎた。我々は旧来の期待された理想像に自らを当てはめ、虚勢を張っていたのかもしれない。「自分がやらなければ」という責任感は、信徒から頼りにされたいという承認欲求だったのかもしれない。「召し」だと思い込んでいた神の声は、ただの空耳だったのかもしれない。「牧師のくせに」「クリスチャンのくせに」という言葉を恐れ、「いい人」を演じ、全人類から好かれる完璧で清く正しく柔和な人であろうと無理をしていたのかもしれない。いまや新幹線まで巨大ロボ化する時代。時代が変われば戦い方も、求められるヒーロー像も変わる。

 とりわけ昨今のオリンピックやドラフト会議では、いかに家族(とりわけ母親)の献身的な支えがあったかを強調し、感動を誘おうとする過剰な演出が横行している。一部の成功体験を美談にすることで、隠されていく悲劇的な側面もあることは覚えておく必要がある。

 ヒーローは無敵ではない。キョウカイジャーも、この世では弱く未熟な罪人である。時に疲れもするし、愚痴も言う。それでいい。戦略としての一時撤退もあり。歩き出す英気を養うためには、立ち止まる必要がある。

 そこで本題。このアドベントを前に、我が輩はキョウカイジャー戦力強化のため、9人目の新メンバーを召喚することにした。本家ではキャラクターが増えるたびにアイテムの種類も増え、その都度バ○ダイの新商品をおねだりされるパパやママはたまったものではないが、我々にその心配は無用。期待して待ちたまえ!

総督
 名前不明 キョウカイジャーを統括する司令塔。「神の国」建設に寄与するため、あらゆる予定調和を打ち壊し、業界の常識を覆そうと目論む野心家。地上では仮の姿でキリスト教メディアに携わる。サブカル好きの中二病。炎上体質。
武器:督促メール/必殺技:連投ツイート/弱点:カマドウマ(便所コオロギ)

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