世界教会協議会(WCC)、ルーテル世界連盟(LWF)、ACTアライアンスと、ドイツのプロテスタント開発奉仕団体であるブロット・フュア・ディ・ヴェルト(「世界のためにパンを」)は、世界の指導者たちに対し、人道的で倫理的な義務として地球温暖化を1.5度に抑えるため、速やかに調整の取れた行動を起こすよう訴えている。WCCが11月22日に公式サイトで表明した。
「信仰に基づく団体として、わたしたちが非常に憂慮しているのは、周縁に追いやられた、脆弱で貧しい人々が、気候変動の影響によって被害を受けており、その影響はそれらの人々をますます緊急事態や人道的危機にさらしつつあるということです」
これら4団体は12月2日から14日まで、ポーランド南部の都市・カトヴィツェで開かれる国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)を控えた11月22日、発表した『地球温暖化を制限する(Limiting Global Warming)』(https://www.lutheranworld.org/sites/default/files/2018/documents/analyse_86_limiting_global_warming.pdf)という60ページの冊子(英語)の中で警告している。
4団体は、年に1度の国連会議や他の公開討論の場で続けてきた気候変動に関する自らの提言活動に繰り返し言及し、健全な財政的・技術的・政治的解決が可能だと主張している。「気候変動への取り組みや、被害を受ける社会を今こそ守るための努力を増大させることに。もし私たちが失敗したら、私たちは未来の世代に対して、計算不可能な危険性を背負うことになるでしょう」と、序文で述べている。
一方で、最も貧しく、気候変動に対して最も脆弱な人たちの保護に向けた努力の増大が、未来の世代を確実に保護するための重大な一歩となるだろうと論じている。
WCCのオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事は、この研究は「脆弱さをもって、窮乏化のうちに生きている人たちに焦点を当てており、それは明らかにキリスト教のレンズ(視点)だ」という点で、「重要」だと指摘した上で、「今こそ確信を持って、変革の実行、すなわちいのちという神の最も聖なる賜物を守るために、わたしたちの経済生活のかたちを急進的に作り直すべき」と訴える。
『地球温暖化を制限する』は、科学的文献や草の根の報告を研究した、アフリカ、ヨーロッパ、そしてオセアニア出身の、気候の専門家や開発の実践家たちからなるチームによって書かれた。
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」による「1.5度の地球温暖化に関する特別報告書」が、摂氏10分の1度ごとの気温上昇が、自らの生活と安寧に大きな悪影響を及ぼしているという、南の発展途上国にいるグループの協力者やメンバーの確信を確認したと述べられている。
また、地球温暖化を1.5度にとどめるためのパリ協定(2015年)にもかかわらず、世界は「軌道を逸し」ていると主張し、その目標を通り越してしまえば、持続可能な開発目標の達成を「重大な危険にさらす」ことになるだろうと加えている。
この冊子は、小規模島嶼諸国、後発開発途上国、南アジア、南部アフリカ、アフリカの角、地中海、中東、中米、およびブラジル北東部を、気候変動の「ホットスポット(不穏点)」と定めている。もし地球の気温が1.5度を超えて上昇すれば、水の健全さ、沿岸の地域社会や都市、海洋及び熱帯の海洋及び(サンゴの)生態系が非常に危険にさらされる。熱波や不規則な降雨、嵐、洪水、干ばつ、そして海面上昇が起きるだろうという。
「これはわたしたちが求めている未来ではありません」とし、各国に対して「自らの責任を果たし、自らのNDC(自国が決定する貢献)を今こそ徐々に増加させる」よう強く求めている。
『地球温暖化を制限する』は、CO2(二酸化炭素)の削減、多国間の協力、投資を「グリーン」つまり持続可能なものへと移行させること、脆弱さの根本原因を克服するために機会均等の正義や気候に関する正義に取り組むこと、持続可能な消費、人口増加を低め、そしてエネルギーや食料の需要を減らすことを勧告している。