教皇フランシスコ 2019年末にも来日へ 広島・長崎訪問にも意欲 2018年12月18日
教皇フランシスコは12月17日、前田万葉枢機卿(カトリック大阪大司教)と面会し、来年末にも訪日する意向を明らかにした。実現すれば、1981年のヨハネ・パウロ2世以来2度目の教皇来日となる。
共同通信など報道各社が伝えたところによると、教皇は訪日中に被爆地広島、長崎を訪問する意向があることも明らかにしている。
松井一實広島市長は昨年11月、田上富久長崎市長は今年5月にバチカン(ローマ教皇庁)を訪問。被爆地訪問を要請するとともに両市長連名による親書を直接手渡し、その後教皇から返書が届いている。返書の中で、教皇はこのように書き記している。
「広島と長崎は、暴力と戦争が引き起す極度の苦しみと死を思い出させるかたわら、立ち上がり命を守り、平和を蒔き、兄弟愛の絆を築く力が備わっていることを示し、私たちの世界に希望の光ももたらします。原爆の惨事を生き抜いた被爆者のみなさんは、その生きた証しであり、その経験は同じような惨事を許さないために取組を続けるよう、私たちを勇気付けるものです」
2016年、子どもたちの質問に対する教皇の答えを翻訳し、『フランシスコ教皇さまへ』(ドン・ボスコ社)として上梓した片柳弘史氏(カトリック宇部教会主任司祭)は、「就任直後の聖木曜日にローマ近郊の少年刑務所を訪ね、受刑者たちの足を洗ったというエピソードをすぐ思い出します。社会の片隅に追いやられ、苦しんでいる人たちに寄り沿うことを、何よりも大切にされる教皇様。日本でもきっと、すばらしい出会いが生まれることでしょう」と期待のコメントを寄せた。
前田枢機卿は12月23日、長崎新聞社の取材に応じ、訪日は「来年11月の後半になるのではないか」との見通しを示した。教皇は長崎で核兵器廃絶を訴える「平和アピール」を発表したい考えで、政治が果たすべき役割にも言及する可能性があると指摘。日本滞在は2泊3日~4泊5日程度が見込まれ、被爆地広島、東京も訪ねる予定。前田枢機卿は「日程次第では長崎なら外海地区、県外なら原発事故があった福島、沖縄なども訪問先の選択肢になる」と語った。
教皇は、原爆投下後の長崎で撮影されたとされる「焼き場に立つ少年」の写真と核廃絶に強い関心を寄せており、17日にバチカンで面会した前田枢機卿に対し「長崎から平和アピールをしたい」と語ったという。広島でも同様にアピールする可能性が高い。
長崎新聞は1981年2月23~26日に東京、広島、長崎を訪問した故ヨハネ・パウロ2世が、広島で核廃絶を訴える「広島平和アピール」を読み上げていることから、関係者の間には長崎からの平和アピール発信を期待する声がある、と報じた。
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