世界教会協議会(WCC)やルーテル世界連盟(LWF)の加盟教会や関連団体などが作る国際的な提言活動・緊急支援ネットワーク「ACTアライアンス」は12月15日、ポーランドで開かれていた国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)が、野心、気候変動に関する行動の緊急性、そして主な国々の政府が持つ政治的意思の間に、膨大な断絶があることを確認するものであったと述べた。
「ACTアライアンスとして、私たちはこの断絶に橋をかけることができるし、またそうしなければならないと強く信じる」と、ACTアライアンスは同日、英文公式サイトでの記者発表資料で述べた。
https://actalliance.org/act-news/cop24-press-release-act-calls-for-stronger-commitment-to-climate-action-after-cop24/
「COP24は、世界で最も脆弱な人々にとって最善かつ可能な成果をもたらすのに失敗した」と、ACTアライアンスのルデルマール・ブエノ・デ・ファリア総幹事。「私たちは、損失と被害がパリ協定の実施の手引きとなる文書に含まれたのを見て、喜んでいる。損失と被害を含めることは、気候変動によって最も影響を受けている、脆弱な社会に対する脅威を認める助けとなる。気候変動対策の資金には、すでに行われてきた約束を超えて世界を動かすために、そして地球の気温上昇を(産業革命前より)1.5度に抑えるという目標を達成するのを助けるために、はるかにもっと野心的な後押しが必要であった」
今年10月に発表された「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の報告書は、さまざまな地点における地球の気温上昇がもたらしうる影響を並べ、地球の気温を1.5度以上上昇させないように保つのには、もっと多くの野心が必要であることを、はっきりと示している。
COP24で発表された、ACTアライアンスによる独自の研究「1.5度の地球温暖化に対応する、気候変動に対する行動の増強:自国が決定する貢献を拡大する」(英文 https://actalliance.org/wp-content/uploads/2018/11/ACT-Alliance_-Report-1.5C.pdf)は、気候変動に取り組まなければ、世界は、2015年に国連持続可能な開発サミットで採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」と、その中で掲げられた「持続可能な開発目標」を、達成できなくなるだろうと結論づけている。
「自国が決定する貢献」とは、パリ協定締結後、2020年以降の温室効果ガス排出削減目標について、締約国が行う約束のことを指す。「COPがIPCCの科学的知見にもっと焦点を当てず、気候変動の懐疑論者たちが論争を後ろ向きに動かし、IPCCの科学的な活動に疑いを投げかけたことに、私たちはがっかりしている。それによって、私たちが自らの野心を増大させる必要があることが明らかになっている」と、デ・ファリア総幹事は続けた。
「私たちは、人権とジェンダー(社会的・文化的な性)の平等を守るために、(パリ協定の実施ルールを定めた)『パリ・ルールブック』にもっと強力な規定が盛り込まれることを期待していた」と、「ACTアライアンス・グローバル提言顧問団」のジョイシア・ソラト共同議長は語った。「私たちは各国政府に対し、「自国が決定する貢献」(NDCs)の改訂において気候変動に関する自らの約束を野心的に増大させ、必ず人権とジェンダーを(気候変動の影響に対する)緩和と適応の両方の実施の中に含めるよう、強く求める」
ACTは、教会や宗教団体、市民社会、そして政府に対し、気候変動と闘うための野心を増大させ続けると共に、最も脆弱な人々のニーズを交渉と行動の最前線に置き続けるよう呼びかけている。「しかし、私たちは気候をめぐる正義のために今こそ行動しなければならない」
ソラト氏は、「すべての人々と地球のために、希望を失わないこと、そして気候をめぐる正義のための闘いを続けることが大切だ。共に私たちはまだ方向を逆転させることができるし、そして私たちは全ての人たちの正義を持ってそれができるのだ」と結んだ。