日本聖公会が桃山学院教育大に「入学式での君が代斉唱の中止を求める要望書」 2019年4月24日

 日本聖公会正義と平和委員会をはじめとする管区諸委員会は3月29日、桃山学院教育大学(梶田叡一学長)の2019年度入学式で「君が代」の斉唱が行われようとしていることについて、中止するよう要望した。同大学では2018年度の入学式で「日の丸」が掲揚され「君が代」が斉唱されていた。日本聖公会は2000年の第52(定期)総会で、「国旗『日の丸』、国家『君が代』の強制の反対を政府に要望する件」を採択しており、要望書は今回の件について「聖公会のキリスト教精神に反するだけでなく、何よりも建学の精神を大切にすべき私立大学の立場を離れるもの」と非難した。全文は以下の通り。


学校法人桃山学院 理事長 出田善蔵 様
         学院長 磯 晴久 様
桃山学院教育大学 学長  梶田叡一 様

桃山学院教育大学入学式での君が代斉唱の中止を求める要望書

 桃山学院教育大学の2018年度入学式において日の丸掲揚と君が代斉唱が行われ、来る2019年度の同大学の入学式において君が代の斉唱が行われようとしていることを知りました。日本聖公会正義と平和委員会をはじめ管区諸委員会は、2019年度の入学式における君が代斉唱を中止していただくよう、強く要望いたします。

 桃山学院教育大学の母体である桃山学院は日本聖公会や世界の聖公会との深いつながりの中で、その祈りと精神を大切にしながら今日を迎えておられると認識しています。

 日本聖公会は、1996年の第49(定期)総会で「聖公会の戦争責任に関する宣言」を決議し、2000年の第52(定期)総会において、「国旗『日の丸』、国家『君が代』の強制の反対を政府に要望する件」を採択し、教団として日の丸、君が代の強制に反対する態度を明らかにしています。その決議は、「『日の丸』は、アジアの国々を侵略し、植民地化する『大日本帝国』のシンボルであり、『君が代』は、『神聖不可侵』な天皇の統治する『御代』が永遠に続き、栄えることを祈願する歌であって、その法制化は戦後日本の基本的理念である主権在民、基本的人権、民主主義には到底なじまない」ことを指摘し、日の丸、君が代の強制の動きが「人間にとって最も大切な内心の自由、すなわち個人の思想・良心・信教の自由を侵し、ないがしろにするものである」として強く反対し、その後も一貫してその姿勢を貫いて参りました。

 聖公会に連なる桃山学院の建学の精神は、自由と愛の精神であり、世界市民の育成です。桃山学院教育大学も、この精神を共有されていると考えます。入学式における君が代の斉唱は、聖公会のキリスト教精神に反するだけでなく、何よりも建学の精神を大切にすべき私立大学の立場を離れるものではないでしょうか。また、大学においては行政府からも強制されていない中、政府の施策を忖度し、進んで君が代斉唱を出席者に強要することは、真の教育者を輩出しようとする貴大学の自治・自由を放棄することにつながります。

 上記の理由から、来る4月3日に挙行される桃山学院教育大学入学式における君が代斉唱を中止されるよう、強く要望いたします。

2019年3月29日

日本聖公会 正義と平和委員会
      日韓協働委員会
      青年委員会
      人権問題担当者
管区事務所 総主事

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