【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 伝統はあっても伝道できない教会 キョウカイブラック 2019年7月21日
久々の出動命令、俺はこの星のとある教会の伝道アドバイザーになってほしいと言われ、出向いてきた。教会の牧師、長老たちが「伝道が伸び悩み、教会成長どころか教会の存続すら危うい」と嘆いているのだ。さらに状況を聞くと、100年の伝統ある教会で、戦後は多くの若者が集い、結婚し、パートナーも産まれた子どもたちもみんな洗礼を受けた。教会は若い家族であふれていたという。
だが子どもたちが成長すると、彼らは教会に来なくなった。孫が与えられ、中には洗礼を受けた者もいるが、教会にはほとんど来ない。クリスマスとイースターだけでも来ればいい方で、あとは習いごとなどで忙しい。教会には年寄りだけが残ってしまった、と悲壮な面持ちの長老。
一生懸命、クリスチャンとして生き、家族を教会に連れていき、教会を支えるためにがんばったのだろう。今、教会でどんな取り組みをしているか聞いてみると、年に1度若い牧師を招き、青年伝道礼拝の開催、そして教会内の若者を集め賛美チームを結成し、賛美集会をしているとのこと。まあ、そんなものだ。どこの教会も、これくらいの策しかないだろう。
だが、前提が違っちまっている。まず、年寄りだらけになった教会でそこに若者を招こうとしていること。そもそも若者の足が教会から遠のいた時点で気付かなければならなかった。最近の子どもたちは習いごとで忙しいとか、少子高齢化なんてのは言い訳に過ぎない。そこに行く価値があれば、子どもも若者も教会に行くだろう。彼らが離れていったのは、そこに居場所がなかったからだ。そこは大人たちが造り上げた、大人たちによる大人たちの大人のためのアカデミックで高尚、かつ世の中と乖離した謎の閉鎖集団になっていた。それも50年前に、だ。それを伝統と呼び、なんとか自分たちのプライドと威信を保とうとしているんだろう。でも、日本のプロテスタント教会はたかだか150年、1教会の歴史にしてもせいぜい100年。それは伝統でもなんでもない。
伝統があっても伝道できない教会には消滅しかない。彼らの大好きな伝統は、あと数年も持たないだろう。しかし、まだチャンスと時間はある。そのしがみついている伝統とやらを今すぐ手放すことだ。よくよく考えてみろ。その伝統の上にあぐらをかいて、古くせえ建物に毎週日曜10時半、若者や子どもが来ると思うか?
そもそも、自分たちの閉鎖的コミュニティ(旧来型の教会共同体)に、若者たちを同化させようという魂胆が違っている。駄菓子やゲームを置いて学童保育のない曜日に子どもの居場所を提供している教会もあれば、Free-Wi-fiを設置して大学生の自習室になっている教会もある。ポケストップの教会もあれば、コスプレイヤーの撮影場所になっている教会もある。何? 福音の本質じゃないだって? 何言ってんだ。俺だって教会に行き続けた理由は、牧師の家にファミコンがあって毎週やらせてくれたからだ。そこにキリストがいれば、自然とそれが教会になるし、人は集まってくるものだ。
キリストだって活動したのは30~33歳の間だ。今の時代から見れば「若者」だよ。若者の命がけの挑戦、そしてそこに集まって来た人々の物語だろう。
!!しまった……今日はなんだか正論ばっか説いて、全然ロックじゃなかったな。まあ、こんな日があってもいいか。
キョウカイブラック
黒田ジョスィ(くろだ・じょすぃ) ロックバンド、カフェなどで教会の常識と敷居を打ち破り、福音を世界に響かせるはみ出し系ロッカー牧師。 キリストこそROCKだと信じてやまない、熱い魂(ハート)の持ち主。教会での働きは意外にも真面目!? 武器:罪人重低音ベース/必殺技:ジーザス・クライスト・ロッケンビーム/弱点:理屈