「おふぃす・ふじかけ賞」 対談本をめぐり著者・編集者がトーク 2019年8月1日
キリスト教カウンセリングの普及に資する出版事業を応援しようと、臨床心理士の藤掛明氏(聖学院大学教授)が創設した「おふぃす・ふじかけ賞」の授賞式が7月12日、東京・中野のいのちのことば社で開かれた。同賞は藤掛氏が1年間に刊行されたキリスト教カウンセリングの関連書籍から、他の人にも勧めたい本を「独断と偏見」で選び表彰するというもの。
2019年度の受賞作(2018年1月から同年12月まで)として、香山リカ著『迷える社会と迷えるわたし』(キリスト新聞社)、芳賀真理子著『こころの「雑談外来」本日も診療中』(いのちのことば社)の2冊、「発掘賞」にヘンリー・クラウド、ジョン・タウンゼント共著『境界線』(地引網出版)、「特別賞」に朝岡勝、大嶋重徳共著『教えてパスターズ!!』(キリスト新聞社)、坂野慧吉、藤掛明共著『心の井戸を深く掘る』(地引網出版)が選ばれた。
式にはそれぞれの著者と、地引網出版から雑誌『舟の右側』編集長の谷口和一郎氏が出席。香山氏は、医者の家庭で育った生い立ちも踏まえ、「たいそうな人間でもないのにちやほやされ、健康にも仕事にも恵まれてきたことに罪の意識がある一方で、イエスの贖いによる赦しはよく分からない。自分に課せられた使命は何かと迷ってきたが、今回の受賞を機に再度向き合いたい」とコメントした。
続いて「特別賞」に選ばれた対談本をめぐりトークセッションが行われ、著者に加え『教えてパスターズ!!』のもとになった番組「What The Pastors!!」を担当した太平洋放送協会(PBA)の細川開氏、キリスト新聞社の桑島大志氏、司会として臨床心理士の森真弓氏が登壇した。
「み心通りになるならなぜ祈るのか」との問いに坂野氏は、急逝した父との関係を紹介しながら「私も時々、神様に反抗して噛みつくことがあるが、祈りは神を変えることではなく、神にぶつかり自分が変えられ新たな発見をする行為」と応答。『教えてパスターズ!!』にも、み心とは「右に行くか左に行くか」ではなく「誰と行くか」を問うこととの記述があることが紹介された。