NCC 在日大韓基督教会と平壌へ訪朝団 対韓輸出規制でもメッセージ 2019年8月11日
在日大韓基督教会(KCCJ)訪朝団(4人)と日本キリスト教協議会(NCCJ)訪朝団(4人)が北朝鮮の朝鮮基督教連盟との交流事業を目的に、7月27日から8月1日に平壌を訪問したことが明らかになった。朝鮮総連の機関紙『朝鮮新報』が「平壌発」として報じた。「鳳岫教会で行われた礼拝のようす」と説明のある写真も掲載されている。日時は明らかにされていないが、訪問期間内の礼拝とすれば、平壌の鳳岫(ポンス)教会で7月28日に行われたと見られる。
今回の訪問は、東京オリンピックが開かれる2020年に、南北のキリスト教会の代表たちを日本に招致し、祖国の平和統一のための礼拝をささげる計画を協議するため、と同紙。在日朝鮮人平和統一協会の李栄勲副会長が同行したとも報じている。
また、日本政府による輸出規制問題をめぐり、NCCJは7月17日、韓国プレスセンターで韓国NCC(韓国基督教教会協議会、NCCK)と共同記者会見を行った。NCCKは韓国キリスト者の立場からこの問題に関する声明を発表し、それに応答する形でNCCJが声明を発表した。全文は以下の通り。
「日本の対韓輸出規制に対するキリスト者の立場」への応答メッセージ
私たち日本キリスト教協議会は、東アジアの国々、ことに韓国・朝鮮の方々に対する日本の侵略戦争による植民地支配の歴史に対する罪を告白し、心からの謝罪と平和構築に向けた努力を怠らないことを誓うものであります。そして、日韓両国の市民社会とともに、互いを尊重し合い、東アジアの平和を希求する働きを共に担うものでありたいと願い、「日本の対韓輸出規制に対する韓国キリスト者の立場」に対して、連帯の意を表明いたします。
3・1独立運動から100年を迎えた今年5月末に東京で開催された、第10 回日韓NCC 協議会共同声明の中で、「正義と平和、いのちの価値を実現する宣教の使命を担う者として、北東アジアの安全と平和の実現を阻む様々な現実を直視しつつ、発展的な⽇韓関係の形成と、北東アジアの平和の定着のための教会間協⼒の重要性を改めて認識し、さらに前向きな発想の転換によって両国政府が相互に協⼒することを期待する。北東アジアの市⺠社会の連帯を通して朝鮮半島における平和体制を確⽴し、平和憲法 9条を守り、さらに恒久的な平和のための“北東アジア共同の家”を建てることができるよう、⽇韓両国の教会が協⼒する。」と提言しました。
しかしながら、日本政府が7月1日に、韓国の半導体とディスプレー関連素材3種類の輸出を規制すると明らかにしたことやその背後にある思惑によって、両国の信頼関係が大きく揺るがされようとしています。私たちは、政治・民間・宗教者という、あらゆるレベルにおける信頼構築のために、真摯に努力しつづけなければならず、ことに、日韓のキリスト者はその橋渡しの役割を担う者であると自覚をしています。それゆえに輸出規制措置が解かれ、今年6月に大阪で開かれたG20首脳会談で採択された「自由、公平、無差別で透明性があり、予測可能な安定した貿易および投資環境を実現し、われわれの市場を開放的に保つよう努力する」とした声明文のように、良好で配慮を怠らない日韓関係の回復を祈り求めます。
そして、「平和を実現する人々は幸いである」というイエスの教えに従い、その使命を広く市民社会と共有し、国家主義と民族主義の限界をこえた、あらゆる生命が尊ばれる世界へと導かれるよう、北東アジア地域の和解と平和、正義と公正のために最善を尽くす者でありたい願っています。
2019年7月17日
日本キリスト教協議会