豪の州最高裁 児童性的虐待でペル枢機卿の控訴棄却 2019年8月21日
オーストラアリアのビクトリア州最高裁判所は8月21日、複数の性的暴行罪に問われていたバチカン(ローマ教皇庁)の前財務長官ジョージ・ペル枢機卿(78)の控訴を退けた。
メルボルン地裁の陪審団は昨年12月、ペル枢機卿は、メルボルン大司教に就任した1996年、セント・パトリック大聖堂内でミサの後、当時13歳だった聖歌隊の少年2人に性的暴行を働いたとして有罪評決を下し、今年3月に6年の禁錮刑が言い渡されている。
枢機卿は、性的暴行で有罪となったカトリック教会の聖職者としては最高位。控訴が棄却されたことで、枢機卿は仮釈放が認められる2022年10月まで服役する。ただ枢機卿が、オーストラリア高等裁判所へ上告する可能性もある。
訴えによると枢機卿は、少年たちが聖餐のワインを飲んだことをとがめ、それぞれの少年にわいせつ行為を強制したという。被害者のうち1人は、1997年にも虐待を受けた。
公判では、被害者の1人が証言した。もう1人の被害者は2014年、薬物の過剰摂取で死去している。
アン・ファーガソン裁判長は、「クリス・マクスウェル裁判官と私は、原告は有力な目撃者であり、うそをついていないことは明らかで、夢想家でもなく、真実を目撃していたという検察側の意見を受け入れる」と説明した。(CJC)