米福音自由教会 終末論における立場「拡大」を発表 2019年8月24日
米国の福音自由教会(EFCA)は8月23日、終末論における立場「拡大」を発表した。同教会は、聖書の「無誤・無謬」説の立場から「前千年王国説」を強固に取る教会として有名だった。またこの終末論的立場から全世界に宣教師を送ってきた教派でもある。今回の「拡大」は「前千年王国説」以外の立場を認めるというもの。
前千年王国説とは、キリストの再臨が千年王国の「前」にあるとする教理。主要なもので「後」「無」「現」など複数あり、時代・地域によって解釈に幅がある。古代から現在に至るまで、最低でも20通りには分岐する教えである。
今回の教理「変更」は、米国内で同教会に属する約35万人の信仰と神学的な実態に伴うもの。米国福音派の有力紙「クリスチャニティ・トゥデイ」などが、トリニティ神学校・教授らのコメントを引用して報じている。
福音自由教会は、スウェーデンなどに起源を持つ北欧敬虔主義教派。19世紀ルター派国教会を背景に「自由教会」を形成し、北米、アジア伝道に赴き、現在はアメリカのみならず、アジア、アフリカと世界各地に教会を持つ。日本では、日本福音自由教会協議会、日本聖契キリスト教団、日本聖約キリスト教団などが関係教派。
時代の趨勢に合わせて「教理」が変更されることは枚挙に暇がない。しかし、終末論は、信仰生活を規定するキリスト教世界観そのものである。講壇から「神の言葉」として語られ、その教えに従って信徒らを導いてきた教会指導者らの責任、また「聖書」テクストと「教理」解釈の関係を含め、今回の立場「拡大」は、様々な波紋を広げる可能性がある。日本国内でも「前千年王国説」を真理として教えた教会もあるからだ。米国福音派の一角を担ってきた同教会の「歴史と信仰」の関係理解が、いま問われている。