全国キリスト教学校人権教育セミナー 第30回「想像力を豊かに持とう」 2019年9月11日
全国キリスト教学校人権教育研究協議会(関田寛雄会長、事務局・日本キリスト教協議会=NCC=教育部)は8月5~7日、大阪女学院(大阪市中央区)を会場に、第30回全国キリスト教学校人権教育セミナーを開催し、全国から100人を超す学校関係者が参加した。愛の対極である無関心、そして世の中を覆う不寛容。それらを乗り越えていくために、「想像力を豊かに持とう――出会いから無関心・不寛容な時代を変える」を主題とした。
釜ヶ崎、生野コリアンタウン=写真=、大正沖縄タウン、大阪の戦争遺跡など歴史と特色を持った大阪市内5カ所のフィールドワークで開会。開会礼拝の説教でヨゼフ・アベイヤ氏(カトリック大阪大司教区補佐司教)はマルコによる福音書から、国連世界人権宣言の精神とのつながりや、イエスが貫いた立場について語った。
6日には「人権教育 これまで これから」と題し、現場での葛藤や苦労を語る若手教員と、長年積み上げてきた実践や教員人生を語るベテラン教員たちによるトークセッションが行われたほか、沖縄の戦争遺品を出張展示する活動を続ける西尾慧吾氏(米イェール大学学生)を招き、戦時下での史実を実証し継承する若い世代から平和教育の実践のヒントを得る機会も設けた。分科会では、非暴力による平和づくり、部落解放教育、子どもの貧困、沖縄、セクシュアル・マイノリティ、在日外国人教育などのテーマに分かれて学びを深めた。
7日には、今年のセミナーを最後に会長を退く関田氏が聖書研究を担当。宗教が陥りやすい自己絶対化への危険性と、他宗教と共にそれを乗り越えていく共生への希望が語られた。セミナーは、沖縄出身の上地武氏(日本基督教団箕面教会牧師)による派遣礼拝で幕を閉じた。
参加した吉田絵理子氏(広島女学院中学高等学校教諭)は、「説教者や講師との出会い、参加者同士のかけがえのない出会い、『戦争遺品』というモノとの出会い。すべてが凝縮され、明日への希望と現在に立ち向かう勇気を与えられた3日間だった」と振り返った。
同協議会は「第30回記念論集」も発行。問い合わせはNCC教育部(Tel 03-3203-0731)まで。