日本キリスト教会(久野真一郎大会議長)は10月17日、第69回大会において「『天皇の代替わり』儀式への抗議声明」を採択した。声明は、「『皇室の伝統行事』と言われるものの多くが明治政府による近代の創作であることは歴史的に明らかであり、まして現憲法下において公的性格を有するものでは」ないと指摘。「天地を創られた唯一の神を信じ、イエス・キリストを主と告白する神の民として、天皇の神格化をいっさい拒否すると共に、あらゆる政治利用」「天皇の代替わりに際する祝意の強制」に反対する意思を表明し、一連の行事に関して公費の支出を行わないことを求めている。20日には同声明を首相官邸と宮内庁宛に送付した。全文は以下の通り。
「天皇の代替わり」儀式への抗議声明
総理大臣 安倍晋三 様
宮内庁長官 山本信一郎 様
2019年10月17日
大会議長 久野真一郎
私たち日本キリスト教会は、「退位礼正殿の儀」および「剣璽等承継の儀」が神道の儀式によって公費を用いて行われたこと、「即位後朝見の儀」が天皇を主権者とするかのような形で行われたことに抗議し、今後予定されている「天皇の代替わり」に関連する一連の行事に関して公費の支出を行わないことを求めます。
このような行為は、憲法の定める政教分離(憲法第20条及び89条)と国民主権(憲法前文及び第1条)の原則に反するものであり、「あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない」と命じられ、「イエス・キリストは主である」と告白する私たちにとって、良心に苦痛を覚えさせられる信教の自由の侵害です。
日本キリスト教会は、昨年8月6日付で、「天皇の退位と即位に関する要望書」を大会議長および北海道・東京・近畿・九州の各中会議長名で行い、天皇の退位と即位に関連する一連の儀式に公費を支出するならば憲法違反になることを警告しました。同様の声明が、多くの宗教団体、学者グループ、弁護士会、市民団体等によって行われています。
政府はこうした声に耳を傾けることなく、「皇室の伝統行事として公的性格を持つ」と強弁していますが、「皇室の伝統行事」と言われるものの多くが明治政府による近代の創作であることは歴史的に明らかであり、まして現憲法下において公的性格を有するものではありません。
それにもかかわらず、政府は私たちの信教の自由を侵し、政教分離と国民主権の原則に反して、一連の「天皇代替わり」儀式を公的な伝統行事として強行しました。私たちはこれに強く抗議すると共に、今後予定されている「即位礼正殿の儀」を国事行為とすること、また大嘗祭に公費を支出することに反対します。
私たちは、天地を創られた唯一の神を信じ、イエス・キリストを主と告白する神の民として、天皇の神格化をいっさい拒否すると共に、あらゆる政治利用に反対します。また、天皇の代替わりに際する祝意の強制に反対します。