即位儀式・大嘗祭は「神道行事」 抗議の署名6200筆を提出 2019年11月21日
11月14日から行われる大嘗祭に先立ち、日本キリスト教協議会(NCC)と日本福音同盟(JEA)、カトリック正義と平和協議会の代表者が12日、「即位儀式・大嘗祭」に抗議する署名を安倍晋三首相宛に提出し、参議院議員会館内で記者会見を開いた。発言したのは=写真左から=小岩井信(JEA社会委員、日本同盟基督教団子母口キリスト教会牧師)、金性済(キム・ソンジェ、NCC総幹事、在日大韓基督教会牧師)、太田勝(カトリック正義と平和協議会、イエスの福音の小さい兄弟会司祭)の3氏。
署名は「明確な神道行事」である一連の儀式に対し国が関わり、公金を支出することに反対し、これらを「国事行為・公的行為」として行うことは国民主権、政教分離の原則、憲法擁護義務に違反するものとして抗議するもの。集められた署名は4月からの半年間で6200筆。司会を務めたNCC靖国神社問題委員会委員長の星出卓也氏は、「30年前の6万筆に比べれば10分の1だが、今なお反対の意志を表明するキリスト者の姿勢を届けられたことの意義は大きい」と評価した。
戦中世代の太田氏は、特高警察に「天皇とイエスとどちらが偉いか?」と問われて苦しい思いをした者が少なくなかったと振り返り、「貴あれば賎あり」との言葉から天皇制が部落差別や身分制度と密接に関わっていることを指摘した。
金氏は、神のみを神とし、人間を神格化する罪を悔い改めるキリスト者の立場から、「『国民の統合の象徴』であるはずが、『象徴天皇によって国民を統合する』という意味合いに変えられてしまった」「即位儀式は宗教を超えた宗教、習俗伝統であると正当化していく時に、政治自身の腐敗が宗教的権威によって隠ぺいされていく」と警鐘を鳴らした。
小岩井氏は、「これらに公金を支出することは、費用の一部を強制的に負担させられることになる。国がキリスト教を含む他の宗教の信者に事実上、祝賀を強要・推奨するもので、キリスト者にとって最も忌むべき偶像崇拝を強要され、信仰的良心が傷つけられるに等しい」と強調した。
「平成」の代替わり以降の変化について問われた金氏は、「皇室報道によって国民の間に良いイメージが浸透してきたが、例えば天皇による被災者への慰問が、本来なすべき支援をおざなりにしてきた政府の無策に対する批判を封じてしまう側面もある」と応じた。