エチオピア 考古学者、1700年前の聖堂遺跡の調査報告 2019年12月18日
多様なキリスト教の伝統の中でも最初期から伝道が行われ、最古の部類に属する地域の一つである地中海南岸アフリカ北部エチオピア。ジョンズ・ホプキンズ大学の考古学者M・J・ハロワー氏率いる調査チームは12月10日、古代アクスム王国の都市ベタサマティでキリスト教の聖堂を発見したと学術誌「Antiquity」に発表した。2009年の発見、2011年開始の発掘調査によるもの。同誌は1923年創刊。現在はケンブリッジ大学出版会が年6回発行する、古代・考古学の研究成果を報告するための学術雑誌である。FOXニュースなど、各紙も報じた。
伝承では、アクスム王国はイスラエルのソロモン王とシェバの女王の息子メネリク1世の血統を保存する。西暦325年にはキリスト教国となり、エチオピア正教会は当時の面影を今でも残すと言われる。
報告によれば、十字架のみならず、動物の置物、印章などが出土。同時代のローマ帝国との交流を示す金の指輪も見つかった。これらは当時の宗教や日常生活への新たな知見をもたらす可能性がある。なお「ベタ・サマティ」は、現地で「聴衆の家」を意味する。紀元前750年ごろにはアクスム人に占領されて、西暦650年ごろまで栄えた。
当該発表はオープンアクセスとして、ケンブリッジ・コアにて無料公開中(英語のみ)。なお本記事の画像はすべて同論文より引用。