安倍首相ほか政党代表の伊勢神宮参拝に抗議声明 2020年1月13日
安倍晋三首相が1月6日に伊勢神宮を参拝したことを受けて、靖国神社国営化阻止キリスト者グループ(浦瀬佑司委員長)は13日、声明を発表。「伊勢神
内閣総理大臣 安倍晋三様
新聞等の報道によると、憲法遵守義務のある内閣総理大臣であるあ
また、あなたは憲法改正を任期中に実現したいと述べていますが、
2020年1月13日
靖国神社国営化阻止キリスト者グループ
委員長 浦瀬佑司
これに先立ち日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会(星出卓也委員長)も昨年12月17日、立憲民主党の枝野幸男代表に宛てて「政党代表の立場での伊勢神宮等の参拝をしないでください」との要請を行っていた。同委員会は年明けに伊勢神宮、出雲大社への参拝を検討しているとの報道を受け、「政権の憲法違反を批判する党の代表が、同じ憲法違反行為を行うことはより深刻かつ重大な問題」と指摘し、「『立憲民主党』の名にふさわしく憲法を遵守した政治を、政教分離原則においても厳格に行っていただくことを切に願い、伊勢神宮、出雲大社への政党としての立場での参拝をしないよう切に求めます」と要望している。全文は以下の通り。
政党代表の立場での伊勢神宮等の参拝をしないでください
立憲民主党代表 枝野幸男殿
今年の1月4日、立憲民主党の枝野幸男代表を始めとして、福山哲郎幹事長、蓮舫副代表は、地元三重県の代表と共に伊勢神宮を集団で訪問し、外宮、内宮の順に参拝しました。私共「日本キリスト教協議会靖国神社問題委員会」は、これに対して政教分離原則に違反する行為として抗議を申し述べさせていただきました。普段から安倍政権の憲法違反行為を的確に批判し、立憲主義を標榜している立憲民主党の代表ら自らが、現安倍政権と同様に、憲法の大原則である政教分離原則を顧みず、現政権と同じように伊勢神宮の参拝を行ったことの重大な問題を指摘させていただきました。
ところが先の12月12日の産経新聞にて「立憲民主党の枝野幸男代表が年明けに伊勢神宮に加え、出雲大社への参拝も検討している」との内容が報道されました。
私共は、現政権の首相及び一部の閣僚が、毎年恒例行事のように年頭の記者会見に先立って伊勢神宮を参拝することに対し毎年抗議文を送っていますが、政権の憲法違反を批判する党の代表が、同じ憲法違反行為を行うことはより深刻かつ重大な問題です。
憲法99条は、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員に「憲法尊重擁護の義務」を課しています。野党の国会議員も同じです。
伊勢神宮は戦前まで、靖国神社と共に国家神道を支えた中心的な神社でした。伊勢神宮は皇室の祖先とされる天照大御神を祀っている神社で、全国に8万という各地の神社の中央組織、神社本庁の「本宗」に位置しています。愛媛玉串料違憲訴訟において、最高裁大法廷は、「神社への奉納は、県が特定の宗教団体との間にのみ特別のかかわり合いを持ったことを否定することができない。特定の宗教団体を特別に支援しており、特定の宗教への関心を呼び起こすものといわざるを得ない。憲法20条3項、89条に違反する」(1997年7月13日、要旨)と述べ、特定の宗教団体との関係を厳しく戒めています。
12月12日の産経新聞の報道では「伊勢と出雲の双方を訪問することで、保守層の支持を広げる狙いがありそう」と指摘されていますが、逆に憲法の精神を大切にする心ある市民の期待を裏切ることとなり、結果として支持を失うことになるのではないでしょうか。「立憲民主党」の名にふさわしく憲法を遵守した政治を、政教分離原則においても厳格に行っていただくことを切に願い、伊勢神宮、出雲大社への政党としての立場での参拝をしないよう切に求めます。
2019年12月17日
日本キリスト教協議会靖国神社問題委員会
委員長 星出卓也