「核兵器のない世界を」と教皇 駐バチカン外交団に新年のあいさつ 2020年1月14日

 教皇フランシスコは1月9日、駐バチカン(ローマ教皇庁)外交団に新年のあいさつで「核兵器のない世界を」と改めて強調した。バチカン公営バチカン・ニュースが報じた。

 バチカン宮殿の王宮の間で行われたこの恒例の出会いには、現在バチカンと外交関係を持つ183カ国に、マルタ騎士団と欧州連合を加えた、185の国と組織の代表が集った。

 教皇はあいさつの中で、昨年行われた海外司牧訪問や教会の行事を振り返りつつ、そこから各地の紛争や緊張状態、未成年者の虐待、環境保全、核兵器非保有など、今日の世界と教会が抱える現状と課題を浮きぼりにした。

 その中で昨年11月に訪れた日本について触れ、「人類が体験しうる限りの苦しみと恐怖にじかに触れた」と語り、「広島と長崎の被爆者の証言に耳を傾ける中で、核兵器による人類絶滅の脅威の上に真の平和を築くことはできないとの思いを強くした」と話した。

 「被爆者は1945年8月に起きた恐怖と、今日まで続く筆舌に尽くしがたい苦しみを、後世に決して繰り返させないとの共通の思いを、生きたともし火として保ち続けている」「核兵器のような、高度な破壊力を持った兵器による支配と破壊へのあらゆる願望を前に、人類の良心がより強まるよう、被爆者たちの証言は、犠牲者たちの記憶を呼び覚まし、保っている」「核兵器は、恐怖や、不信、敵意を広めるだけでなく、希望を破壊する。核兵器の使用は、倫理に反するものであり、人類とその尊厳に対するだけでなく、わたしたちの共通の家のあらゆる未来に対する犯罪である」「核兵器のない世界は可能であり、必要である」と述べた教皇は、大量破壊兵器の保有が世界を安全にするわけではないことを十分に意識するようにと、政治責任者たちに訴えた。

撮影=山名敏郎

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