ブルガリア世界遺産の岩窟教会、800周年へ 2020年1月17日
ブルガリア正教会は2020年から2021年にかけて現地自治体とも協力し、同国北部ルセ州「イヴァノヴォの岩窟教会群」800周年を祝う。現地紙の報道、SNSなどで話題となっている。ルセ州は、ルーマニアと接している。
世界遺産への登録は1979年。13~14世紀のフレスコ画が非常に高い評価を受けている。1320年以降、ブルガリア正教会の総主教が居を定めるなど修道士たちも暮らした。岩を切り出して聖堂などをつくり、約40教会、300室を擁した。第二次ブルガリア帝国時代には皇帝と貴族らから多大な寄進を受けて栄えた。14世紀には「ヘシカスム(正教会における黙想の伝統)」の中心地ともなった。
ブルガリアの歴史は複雑だ。トラキア文明に遡るとも言われ、東ローマ帝国、スラヴ人、ブルガール人、モンゴル人、オスマン帝国と支配者は幾度となく変わってきた。20世紀にはナチスとの軍事同盟下でのホロコーストへの抵抗を見せて、ソヴィエトによる侵攻を受けた。数多の戦争と侵略を受けた土地に深く根付いた「信仰」が、再び注目されている。