【2・11集会】 天皇制めぐり吉馴明子氏講演 「象徴」「統合」を問い直す 2020年3月5日
日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会、東京地方バプテスト教会連合社会委員会が後援して毎年行われている「2.11東京集会」(なくせ!建国記念の日・許すな!靖国国営化2.11東京集会)が2月11日、在日本韓国YMCA(東京都千代田区)で開催され約100人が参加した(同実行委員会主催)。
「歩き・話す『象徴天皇制』――戦争責任と行幸;昭和天皇と平成天皇」と題して講演した吉馴明子氏(恵泉女学園大学名誉教授、日本キリスト改革派東京恩寵教会員)=写真=は、自らの戦後体験も交えながら、象徴天皇制の成立過程を概観した上で、「天皇は日米双方の政治的必要を満たす装置だった。全国を巡る『行幸』を通して、侵すべからざる『騎乗の指揮官』から『平服姿』の天皇として受け入れられていった」と指摘。
昭和天皇は自身の戦争指導について国民に対して過ちを謝るという姿勢はなかったが、「神と英霊(御宗祖)に対し、平和ではなく戦勝を祈願してしまった過ち」を悔いたとし、「本人としては皇統を守ることで責任を果たしているとの思いがあったのではないか」と述べた。
一方、平成天皇は戦争指導者として生きた明治・昭和天皇とは感覚が違い、「歩き、話す」ことで国民に寄り添い、共感を呼び起こすような「国民の総意」に基づく象徴天皇の姿を追求した。吉馴氏は、「戦時中の経歴を持つ生身の人間に平和の象徴を担わせるには無理があった。国民を『統合』するとはどういうことかを、主権者として問い続けなければならない」と結んだ。
講演後に採択された宣言文は、世界にはさまざまな統治形態をもつ国がある中で、「象徴天皇制以外の選択肢を自由に話し合いたい」とし、「自治を担う主権者として、共に育ち合い、高め合いましょう」と呼びかけた。(本紙・クリスチャンプレス共同取材)