教皇、新型コロナウイルス感染拡大に「世界の武力紛争停止」呼び掛け 2020年3月31日

 教皇フランシスコは3月29日、新型コロナウイルス感染の世界的大流行(パンデミック)の中で、アントニオ・グティエレス国連事務総長の世界的な停戦の呼び掛けに参加し、平和を求めて建設的な対話の必要性を強調した。

 教皇はバチカン宮殿内の図書館から正午の「お告げの祈り」を唱えた後に演説し、「グティエレス国連事務総長は、『世界のあらゆる隅々での全面的かつ即時の銃撃を停止する』という呼び掛けを開始し、国境を超えて知らない現在の緊急事態を想起させ、完全な停戦への呼び掛けを行った」と述べた。

 グティエレス国連事務総長は3月21日、新型コロナウイルスとの「さらなる戦い」を支援するため、戦火を交えている世界中の当事者に「武器を捨てる」よう促した。「ウィルスの猛威は、戦争の愚かさを物語っている」という。呼び掛けに応え、カメルーン、フィリピン、イエメン、シリアの武装グループが、暴力を減らすための最初の措置を講じている。イエメンでは5年に及ぶ内戦により、世界で最悪の人道的危機が生じている。シリアでは、新型コロナウイルスの潜在的な発生が、9年間の紛争の影響で苦しんでいる650万人の国内避難民に致命的な脅威を与えている。

 教皇は、パンデミックの危機にある世界に、武力紛争の即時停止と人道支援の回廊構築の促進を、次のように呼び掛けた。「バチカン・ニュース」によって紹介する。


親愛なる兄弟姉妹の皆さん

 数日前、国連事務総長は、現在の新型コロナウイルスによるとどまることを知らない危機的状況の観点から、「世界各地の紛争のグローバルかつ速やかな停戦」を訴えました。これは、完全な停戦へのアピールです。

 私はこのアピールを受け入れる人々と心を合わせると共に、あらゆる形の武力的対立を止め、人道支援回廊の構築を促し、外交に開き、最も弱い立場にある人々に配慮するようよう呼びかけたいと思います。

 パンデミックに対抗するための共通の取り組みを通して、唯一の家族の一員として兄弟愛に基づく絆を強める必要に、皆が気づくことができますように。特に、当事国や関係国の指導者に、敵対関係を克服するための新たな努力を呼び覚ますことができますように。

 対立は戦争では解決しません。敵対や反目を超え、対話を通し、建設的に平和を追求することが必要です。

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