ワールド・ビジョン・ジャパン 感染拡大を防ぐための緊急支援 2020年4月25日
国際NGOワールド・ビジョン(アンドリュー・モーリー総裁)は4月8日、2014~16年に起こったエボラ出血熱のアウトブレイクに対して実施した大規模な緊急支援の経験に基づき、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大によって世界の子どもたちが受ける悪影響を分析し、まとめた緊急報告書「Aftershocks」を発表した。分析の対象国は、国連が発表したCOVID-19人道支援計画でも最も脆弱とされる24カ国としている。
同報告書は感染拡大が進むことによって保健医療システムが崩壊し、「COVID-19以外の病気にかかった際に治療を受けられなくなる」「本来受けるべき各疾病の予防接種を受けられなくなる、もしくは接種が遅れる」「食料不足によって栄養不良が増加する」との影響を懸念。
その結果、予防接種を受けられなくなり、深刻な疾病にかかりやすくなる子どもが2,600万人、重度の栄養不良に陥る子どもが500万人(現在の4割増)、マラリアに感染しても治療を受けられずに死亡する子どもが10万人(現在の5割増)と試算した上で、「子どもたちを含む人口の多くが極度の貧困と生命を失う危険にさらされる」とも警告している。
アンドリュー・モーリー総裁は、「子どもたちはCOVID-19とはあまり関係ない、という考えは大きな誤解です。感染が拡大して保健医療システムが崩壊すると、子どもたちは命に関わる他の疾病や重度の栄養不良になっても、治療を受けられなくなるのです。COVDI-19は全世界に大きな影響を及ぼしていますが、ぜい弱な環境にある国・地域においては、こうした副次的な事由が子どもたちの命を危険にさらすことが危惧されます。我々はまさに今、行動することが求められています」と国際社会に訴える。
こうした事態を受けてワールド・ビジョンは、COVID-19の脅威から最も弱い立場にある人々を守るため、17カ国(アフガニスタン、バングラデシュ、ブラジル、コンゴ民主共和国、ハイチ、インド、インドネシア、イラク、ケニア、レバノン、中国、モンゴル、フィリピン、セネガル、南アフリカ、シリア、タイ)を優先国に指定し対応を強化。石けんを使った手洗い指導、衛生行動の促進などによるウイルス感染拡大防止、マスクや医療器具、保護用具などの提供、在宅ケアのサポート、安全な学校運営のサポート、休校時用の学習教材やアクティビティパックの提供、子どもや保護者への社会心理的ケア、孤立した人々への食糧・生活必需品の配布などの取り組みを始めている。
また、病院がない地域の子どもたち、難民キャンプで暮らす人々を感染から守るための緊急募金を呼び掛けている。詳しくは公式サイト(https://www.worldvision.jp/donate/covid-19.html)まで。