中国地下教会の司教が死亡か 公認教会加入拒み20年以上消息不明 2020年7月21日
中国政府公認のカトリック(天主教)教会への加入を拒否したことで逮捕され、その後20年以上消息が分かっていない地下教会の司教が、死亡した可能性がある。中国当局が最近、後任司教の任命についてバチカンに承認を求めているという。カトリック系UCAN通信が報じた。
死亡が推定されているのは、保定教区(河北省)のジェームス蘇志民(ス・ジミン、蘇哲民とも)司教(88)。蘇司教は1996年、政府公認の「中国天主教愛国会」への加入を拒んだことから、「反革命分子」として逮捕され、収監された。司教の家族が2003年に保定市内の病院に司教が入院しているのを偶然、目撃したが、その後17年間、司教の安否は確認されていない。
司教の甥とされる蘇天祐(ス・ティヤンヨ)氏が、UCAN通信に語ったところによると、中国共産党は、保定教区のフランシスコ安樹新(アン・シュシン)補佐司教を司教に任命するようバチカンに要請したという。そこで、蘇司教はすでに死亡している、との観測が出てきた。
安司教はかつて、教皇のみに忠誠を誓う地下教会に所属していたが、1996年に逮捕され、10年間にわたる自宅軟禁の後、公認教会で奉仕することに同意し、自宅軟禁を解かれた。
一方、蘇司教は1981年に司祭に叙階され、93年に当時の教皇ヨハネ・パウロ2世から保定教区司教に任命されたが、中国政府は認めてこなかった。
安司教の教区司教任命を求めた中国共産党による最近の要求をめぐり、天祐氏は、蘇司教の安否確認と釈放を中国側に要求することを、バチカンに求めているという。(CJC)