カトリック教会 改めて「核なき世界」への注力を訴え 2020年8月10日
教皇フランシスコは8月9日、バチカンのサンピエトロ広場で行われた「正午の祈り」で、世界が核兵器のない世界に注力するよう訴えた。長崎への原爆投下から75年を迎えたこの日、広島と長崎の悲劇を心に留め、被爆地訪問を「胸に迫る感動と感謝をもって」振り返りつつ、「核兵器から完全に解放された世界のために、祈り、努力するよう、改めて呼びかけたい」と語った。
カトリックの国際平和運動組織「パックス・クリスティ・イン
昨年11月、38年ぶりの被爆地訪問を受け、カトリック長崎大司教区(髙見三明大司教)、広島司教区(白浜満司教)は7月7日、NPO法人 ANT-Hiroshima(渡部朋子理事長)、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN、川崎哲国際運営委員)、核兵器廃絶地球市民集会ナガサキ(朝長万左男実行委員長)の3団体と共に、「『核兵器禁止条約』の批准・発効を後押しする活動」「世界の核兵器由来の放射能被害者」「放射能汚染からの環境回復」「核兵器廃棄を目指す活動」の支援を目的として、幅広く寄付を募る「核なき世界基金」(https://nuclear-free.net/)を設立した。
同基金は3年前(2017年)の7月7日、国連で採択された「核兵器禁止条約」の1日も早い発効が切望される中で、教皇フランシスコによる「核兵器の保有は、それ自体が倫理に反する」(広島)、「防衛費の一部から世界基金を創設し、貧しい人々の援助に充てるべき」との訴えを受け、「世界の核被爆者が重要な場で被爆証言をして、『核兵器禁止条約』を発効を働きかける活動のため」「ウラン採掘に従事して被曝した労働者、マーシャル諸島やムルロア環礁での核実験の被害者への医療ケアや生活の支援」に必要な財源を確保するため、被爆地から「核なき世界」を願う声を力にして核廃絶の支援網(ワン・コイン・ネット)を広げようと呼びかけるもの。
すでに7月末の時点で、227人から計213万円を超える寄付が寄せられた。寄付金(1口500円から)は、被爆者が海外で証言活動をする際の渡航費などに用いられる。同時に、趣旨に賛同して年に一度の定額支援を行う個人(年間6口3千円以上)、学生(年間2口1千円以上)、団体・法人(年間10口5千円以上)会員も募集。会員にはニュースレター、会計報告、支援依頼を送付する。問い合わせは広島カトリック会館内「『核なき世界基金』を支援する会」事務局(Tel 082-221-6017、月曜~金曜午前9時~午後5時)まで。
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