「コロナ禍の8.15」動画で配信 武力によらない平和の再構築を 2020年9月11日

 日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会の後援で毎年8月15日に開かれてきた「許すな!靖国国営化8・15東京集会」(同実行委員会主催)は、「コロナ禍の8.15」をテーマに、YouTubeを介してオンラインで配信され、延べ500件余りのアクセスがあった。

 基調報告で城倉啓氏(日本バプテスト連盟泉バプテスト教会牧師)は、オリンピックに象徴される国家主義、拝金主義、経済至上主義、商業主義を思想的に批判しつつ、「このコロナ禍を『武力によらない平和の再構築』という構想を鍛える出来事としたい」とし、対案となる国づくり構想の柱として「コロナ禍からのヒントで、散らばること・きれいにすること・ゆっくり自分の歩調で動くこと」「困っている個人のために税金を使うこと」「日米軍事同盟を破棄し、EUの取り組みを東北アジアでも展開する平和外交」の3点を挙げた。

 続くリレートークでは、「コロナ禍と教育」「コロナ禍と経済」「緊急事態宣言と自粛要請」「コロナ禍のなかの外国人労働者」「韓国コロナ特別リポート」をテーマに登壇者が発言。

 閉会後にはZoomによる集会「ジェンダーの視点で沖縄の近代を問う平和教育の実践」も行われ、参加した20人で私立高校の現役教師による社会科の授業「沖縄女性の伝統的な習俗ハジチ(入れ墨)の歴史とそれをめぐる当事者の葛藤」の実践報告を共有し、グループディスカッションを行った。

 実行委員長の長尾邦弘氏(日本基督教団深川教会牧師)は、「集会を通して、平和について若い世代に伝えることの大切さと共に、多様性を受け入れることが平和にとっていかに大切か、改めて共有された。海外からの参加も複数あり、インターネットで開催することの新しい可能性を感じた」と振り返った。

 参加者一堂で採択された「宣言文」は以下の通り。


第47回 許すな!靖国国営化 8.15東京集会 集会宣言文

 わたしたちは今回、インターネット配信という新しい形で集会を行い、「コロナ禍の8.15」と題して基調報告と、リレートークにより、平和への取り組みと共に、現在の社会の抱える問題を共有しました。新型コロナウイルスの流行は、改めて命の尊さを確認させ、人を殺し合う戦争の愚かさをあぶりだしました。この事態によって起こった世界の様々な変化は、コロナ後の社会に向かって、武力によらない平和の実現についてある種の可能性を示しています。

 一方、すべての人の命が危険にさらされる中で、とりわけ社会的、経済的に弱い立場に置かれている人たちがより深刻な犠牲を強いられ、分断が深まっている現実を私たちは目の当たりにしています。私たちは格差を拡大させる経済最優先の社会的価値観に警鐘を鳴らし続けます。

 また、安倍首相はコロナ禍への対応、政治問題山積の中、臨時国会開催の要請に応えず、説明責任を果たそうとしていません。そればかりか、保守勢力はコロナ流行への緊急事態宣言の経験に便乗して憲法に緊急事態条項を加えようとする動きを見せており、その強引、身勝手な手法は決して許されることではありません。緊急事態宣言は憲法によって保障されている基本的人権を規制するものであることを、私たちは実感しました。

 今回の政府や自治体からの自粛要請に対し、国民の中には積極的、あるいは過剰に従う風潮が見えました。それは国のために死んだ「英霊」を祀る靖国神社を国が支えるしくみに対しても、無批判に受け入れてしまう危険性をはらんでいます。注視していかなくてはなりません。

 また現在自民党は、イージスアショアの撤回を受けて敵基地攻撃能力の保有を主張し始めています。これは憲法の平和主義を大きく逸脱し、専守防衛の枠を完全に壊すものであり、私たちはこれに断固反対します。

 私たちは今、あらためて民主主義の意味を自覚し、基本的人権の大切さを深く受け止め、憲法に保障される信教の自由、政教分離原則を守るため声を上げていきましょう。

2020年8月15日
第47回 許すな!4靖国国営化8.15東京集会 参加者一同

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