学術会議への人事介入めぐり日本宗教研究諸学会連合が声明 宗教系16学会が賛同 2020年10月16日
日本宗教研究諸学会連合(島薗進委員長)は10月7日、「日本学術会議新規会員の任命拒否について」との声明を発表した。同連合は2008年に設立され、宗教を研究する諸学会30団体(2016年時点)が加盟する連合組織で、加盟学会と日本学術会議の間をつなぎながら、相互の交流や国際協力を促進する役割を担ってきた。
声明では、日本宗教学会の役員で「日本の宗教研究を代表するに足る」芦名定道氏(京都大学大学院教授)を含め、「それぞれの分野での学術的な評価を経て推薦された6名の研究者が正当な理由なく任命されなかったことは理解に苦しむ」と指摘。
「科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与すること」を使命として設立された日本学術会議の独立性を冒し、「ひいては日本における学問の自由と自律を脅かすことにもつながりかねない」との危惧を示した。
これまで、加盟学会のうち日本宗教学会理事会をはじめ、宗教哲学会理事会、「宗教と社会」学会常任委員会、日本旧約学会委員会(月本昭男会長)、日本新約学会理事会(大貫隆代表)など16の学会・団体が賛同を表明している。
全文は以下の通り。
日本学術会議新規会員の任命拒否について
この度、日本学術会議が新たに会員に推薦した105名のうち、人文社会科学系の研究者6名が内閣総理大臣によって任命されませんでしたが、これは学術活動に関わる団体としてけっして容認できない事態です。
任命されなかった方々のうち第一部哲学委員会に属する予定だった1名は、日本宗教学会の役員を長く務め、学術上の業績、識見からして、日本の宗教研究を代表するに足る方です。この方を含め、それぞれの分野での学術的な評価を経て推薦された6名の研究者が正当な理由なく任命されなかったことは理解に苦しむところです。
日本学術会議は、「科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与すること」を使命として設立されました。今回の事態は、この設立理念に反し、日本学術会議の独立性を冒し、ひいては日本における学問の自由と自律を脅かすことにもつながりかねないと危惧します。
日本学術会議の要望に沿って、6名の研究者がすみやかに会員に任命されることを、内閣総理大臣に対し強く要望いたします。
2020年10月7日
日本宗教研究諸学会連合委員長
島薗進
賛同学会
(10月8日から10月16日までに賛同いただいた学会)
日本印度学仏教学会 理事会
筑波哲学・思想学会 評議委員会
日本宗教学会 理事会
西田哲学会 理事会
宗教哲学会 理事会
宗教倫理学会 評議会
日本山岳修験学会 理事会・評議員会
日本基督教学会 理事会
日本道教学会 会長 丸山宏
日本近代仏教史研究会 運営委員会
印度学宗教学会 会長 木村敏明
「宗教と社会」学会 常任委員会
駒沢宗教学研究会 理事会
日本旧約学会 委員会(会長:月本昭男)
日本新約学会 理事会(代表者:大貫隆)
パーリ学仏教文化学会 理事会