オンライン化への期待と危惧を議論 キリスト教主義学校の教授ら 2021年4月11日
立教大学、同志社大学、関西学院大学でキリスト教教育、実践神学に携わる3氏によるオンライン鼎談「コロナ時代に問う『神学+教育2.0』」(キリスト新聞社主催、3月20日開催)の模様がYouTubeで公開されている。
登壇したのは、いずれもキリスト教主義学校で教育、実践神学に携わる同志社大学神学部教授の小原克博氏、関西学院大学神学部教授の中道基夫氏、4月より立教大学総長に就任した西原廉太氏の3人。本紙編集長の松谷信司が司会を務め、各パネリストが勤務する大学の現状や、オンライン(バーチャル)かオフライン(リアル)かという二者択一の議論を越え、「ポストコロナ」の宗教、学校、教会が生き抜く道筋について語られた。
20年前からオンライン授業に取り組んできた小原氏は、オンライン化がもたらした最大の変化について「学びの多様性の気づき」と回答。「対面授業では意見を言えなかったが、オンラインになったら自分でも驚くほど発言できて新鮮だったという声も複数ある。今までの標準を前提にするのではなく、いろいろな学生がいることを考えて配慮したり、時間と空間にとらわれず学ぶ方法を追求することが求められている」
中道氏は、オンライン化は利点も多い反面、生徒と教員とのコミュニケーションが薄れてしまうのではないかと危惧。西原氏は「『教育力』と『コンテンツ力』の重要性の再確認」と回答し、オンライン化によって学部・キャンパス間を超えた教育が提供できるようになったことで、教員一人ひとりの教育力とコンテンツ力が問われるようになったと述べ、今後は海外の大学とも連携を図りたいと期待を寄せた。
続いて、教会のオンライン化に対する期待値を「期待・可能性」と「課題・危惧」に分けてパーセンテージを問う設問では、「期待・可能性」は30%と最も低く回答した中道氏が、オンライン化することで教会に集まる意味や礼拝の本質が問われていると語る一方、共に50%とした小原氏は、状況によってもどちらも増える可能性があると言及。「不自由で不便な教会には、世の中にはない価値があるということを示し続けなければならない」
「期待・可能性」が55%とわずかに上回った西原氏は、授業同様にそれぞれの良さを組み合わせたハイブリッドな取り組みに期待したいとし、礼拝における聖餐をどう理解するのか再確認する必要があり、基本的には教会の原点でもある直接の交わりを大切にしたいとも語った。
同志社大学では4月から試験的にオンライン聴講制度をスタート。牧師志願者以外でも学びやすい環境を整備し、モデルケースを作りたいと意気込む。キリスト教学校教育同盟の理事長でもある西原氏は、「学校間でも連携を取りながら、優良なコンテンツを配信するプラットフォームの開発に取り組みたい」と強調した。(クリスチャンプレス・河西みのり)