日本YWCA 福島第一原発 汚染水の海洋放出に反対 2021年4月21日
日本YWCA(藤谷佐斗子会長、尾崎裕美子総幹事)は4月21日、菅義偉首相、梶山弘志経産相、小泉進次郎環境相、東京電力に宛てて「東京電力福島第一原子力発電所放射能汚染水の海洋放出に反対し、撤回を求めます!」との声明を発表した。
これは、放射能汚染水の海洋放出を決めた4月13日の閣議決定を受けて表明されたもの。声明は今回の決定を「市民の反対や不安を押し切る強行的な判断」「恐怖からの自由、欠乏からの自由を奪うものであり、日本で生活するすべての人間の安全保障、国家の安全保障の礎を揺るがす蛮行」「国際社会における責任を蔑ろにするもの」と非難した。
人権と環境を守ることを目的に、女性・子どもの健康・生活、そして「いのち」を守るために尽力してきた国際NGOとして、「女性・子どもの健康を脅かすことはもちろんのこと、地域住民の経済を直撃し生活基盤を崩壊させ」ることに懸念を示し、「速やかに決定を撤回し、誠実な対応策を講じること」を求めている。
全文は以下の通り。
東京電力福島第一原子力発電所放射能汚染水の海洋放出に反対し、撤回を求めます!
日本YWCAは、政府が2021年4月13日に決定を発表した東京電力福島第一原子力発電所からの放射能汚染水の海洋放出を断固反対します。事故後10年間放置し、県民の合意もなく強引な海洋放出の決定には撤回を求めます。すべての生命への有害性が懸念される海洋放出は、究極の環境汚染です。
福島県59市町村のうち約7割の41市町村議会が、海洋放出に反対または慎重な対応を求める決議や国への意見書を採択しています。全国漁業協同組合連合会からも再考の要請書が出されている他、各方面から抗議の意が示されていることはもちろんのこと、経済産業省資源エネルギー庁2020年4月から7月に募集したパブリックコメントや各報道機関による世論調査から分かる通り、市民の多くは海洋放出に反対をしています。4月13日の決定はそのような市民の反対や不安を押し切る強行的な判断です。これは、恐怖からの自由、欠乏からの自由を奪うものであり、日本で生活するすべての人間の安全保障、国家の安全保障の礎を揺るがす蛮行です。これまで、国際社会の平和・安全・安心に責任を負ってきた、市民の活動を蔑ろにするものであり、許されるものではありません。
さらに中国や韓国、台湾など近隣国をはじめとした諸外国からも懸念や遺憾の意が表明されています。これは今後も日本の国際社会における責任を蔑ろにするものであり、許されるもことではありません。専門家によると大型タンクの設置や「モルタル固化による処分」も含めて検討をすることで陸上での長期保管することも可能とのことです。それにもかかわらず人体への有害性が懸念されているトリチウムを含んだ処理水を海洋に放出することは市民の健康を省みない、非人道的な取り組みであることは明白です。自然に浄化作用がないものを環境に捨てるのは間違っています。また、2015年には、当時の経済産業相が「関係者の理解なしには海洋放出は行なわない」と約束しています。今回、全く説明がないままの決定は、理解を得る努力が不十分なまま行なわれたというしかありません。
日本YWCAは人権と環境を守ることを目的とした国際NGOとして、女性・子どもの健康・生活、そして「いのち」を守るために尽力しています。放射性汚染水の海洋放出は、女性・子どもの健康を脅かすことはもちろんのこと、地域住民の経済を直撃し生活基盤を崩壊させます。そのため、私たち日本YWCAは今回の東京電力福島第一原子力発電所からの放射能汚染水の海洋放出の決定を許すことはできません。私たち日本YWCAは、速やかに決定を撤回し、誠実な対応策を講じることを求めます。